ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2016
~村瀬二郎記念奨学事業~
概要
米国サマープログラム2016では、日本全国から、広く世界に活躍するリーダーとなる志を持ちながらも、グローバルな経験を積む機会が限られている環境にある学生14名を選抜し、ボストン・ワシントンDC・ニューヨークを訪問しました。現地では、社会をより良い場にすべく活動する団体・個人を訪問し、米国における社会変革のあり方について学ぶとともに、現地の方々との交流を通じて、日本の今を米国の方々に伝えるアンバサダーとしての役割も果たしました。 本事業は、日米両国の架け橋として活躍された故村瀬二郎氏のご遺志を継ぎ、日米交流の担い手となる若者がアメリカの空気に触れ、多くのアメリカ人に出会い、米国社会について学ぶことを目的とした「村瀬二郎記念奨学事業」として、米日財団及び村瀬家の方々からのご寄附を含むジャパン・ソサエティー村瀬二郎記念基金のご支援により開催されました。
日時
7月30日 事前研修 (東京) 7月31日~8月12日 米国プログラム(ボストン・ワシントンDC・ニューヨーク)
参加者
大学生・高校生14名
東 浩太郎 奈良市立一条高等学校 中学3年の時に大阪の西成地区を訪れ、公園に暮らす人や道端で物を売る人の姿を目の当たりにして、言葉にしきれないたくさんのことを感じた。周りを気遣い、思慮深い人間になりたいと考え、未知の場所で仲間と切磋琢磨できるビヨンドトゥモローへ応募した。自分が本から多くを学び、物語に心躍らせてきた経験から、将来は作家になり、自分の文章で、西成地区で見たような、世の中の物事を一人でも多くの人に伝えていくことが夢。 | |
荒川 未菜子 長野県上田高等学校 7歳の時から児童養護施設に暮らす。周りの大人に支えられ、充実した生活を送り、大きく成長させてもらった経験から、将来は、自分もセーフティネットの一翼を担い、一人では生きていくことができない人を少しでも支えられるような大人になりたいと考えている。ビヨンドトゥモローに参加することで、自分と同じように周囲と異なる体験をしてきた仲間に出会い、そして人を支えることについて学びたいと考えている。グローバルな課題に関心があり、エボラ出血熱やSDGs(持続可能な開発目標)について課題研究を行っている。 | |
石井 千恵 三浦学苑高等学校 インドネシアからの留学生と交流した経験から、イスラム教徒が偏見の対象となっている昨今の現状に心を痛めた。偏った情報で決めつけてしまう風潮が広がれば、誰でも偏見の対象となりうると考え、情報を鵜呑みにするのではなく、多面的に物事を判断する力を養うことの大切さを感じるようになった。ビヨンドトゥモローの活動に参加することで、外の世界から物事を見ることを学びたいと考えている。将来は宇宙工学を学び、宇宙にある資源をエネルギーに変え、地球の資源確保に貢献したいと考えている。 | |
遠藤 真之 東京大学工学部(福島県立会津学鳳高等学校卒業) ビヨンドトゥモローに参加し、同年代の仲間たちが、家族、友人、家、住み慣れた町など、様々なものを失いながらも力強く生きる姿に頭を殴られたような衝撃を受けた。震災で何も失わなかった自分に何の貢献ができるのだろうと自分の存在意義を必死に考え、被災していない自分だからこそできるサポート役を務めていきたいと考えるようになった。今後、より多様性が広がるビヨンドトゥモローの活動において、未知の経験を通して成長することを楽しみにしている。将来の夢は、IT技術を活用し、地域格差の解消に貢献すること。 | |
小林 知世 大阪府立春日丘高等学校 東北復興支援ボランティアに高校生として参加し、東日本大震災の被災地を訪れた。かさあげが行われ、何もない土地を見て、想像よりも復興が進んでいないことを知り、実際に足を運ぶことの大切さを感じた。ビヨンドトゥモローの活動に参加することで、様々な考えを持つ人たちと実際に会い、意見を交わし、自分にない考えを知り、問題を解決する力を身につけたいと考えている。絵画や服飾に興味があり、将来は、創作活動を通して困難な状況下にある人を支えたいと考えている。 | |
下山 晏珠 東京都立園芸高等学校 母子家庭で母が苦労する姿を見て育ち、やりたいことがあっても我慢することが多かった。ビヨンドトゥモローを知った時、ビヨンドトゥモローが自分たちの存在に気づき、力になりたいと思ってくれたのだと感じ、自分も、見えないところで苦しんだり悲しんだりしている人の力になりたいと考えるようになった。自分に自信がなく、いつも挑戦から逃げてきたが、自分の殻を破りたいと、ビヨンドトゥモローへの応募を決意。挑戦の先に、これまで見ることができなかった景色を見ることができるようになることを期待している。 | |
須田 陽波 鹿児島県立種子島中央高等学校 高校2年で初めてビヨンドトゥモローに参加し、種子島に育った自分の視野がいかに狭かったかを痛感し、もっと視野を広げ、世界や日本の現状について知りたいと考えるようになった。フェローズプログラムに参加し、仲間たちと考え、意見を言い合いながら一つのものを作るという経験を通して自分の人生が変わっていくことを期待している。将来は、歴史や外国語を学び、人のために働ける仕事に就きたいと考えている。 | |
髙橋 久美 岩手県立花巻農業高等学校 高校1年の時に、国際協力のプロジェクトに参加し、ルワンダの気候と土地に着目した農業改革を提案したことから、ルワンダの大量虐殺の歴史やストリートチルドレンの問題について関心を持つようになった。将来は、映画広告の職業に就き、また、途上国の農業に貢献できるようなことにも関心を持っている。幼少期から難病と闘った経験から、自分の闘病経験は、同じように辛い想いをしている人に寄り添うためにあったのだと考え、また、常に自分に寄り添ってくれた母を自分が支えられるようになりたいと考えている。 | |
田渕 緋菜 北陸高等学校 10年以上続けているガールスカウトで、貧困、差別、権利問題などの様々な社会課題について考え、解決のために行動するという活動をしてきた。また、知的障がいを持つ妹を持ったことから、健常者と障がい者の双方がつながっていると感じられる社会の実現が大切だと考えるようになった。ビヨンドトゥモローに参加することで、同年代の仲間とディスカッションし、国内外の視点をみつけて大きく成長することができると考え、フェローズプログラムに応募した。将来の夢は、管理栄養士となり、食を通して地域社会を支えること。 | |
中川 清華 熊本県立宇土高等学校 事故で障がい者となった父を中学2年の時に亡くした。生前、体が不自由でも精一杯頑張っていた父を誇りに思い、自分がこの世に生まれた意味は、父から「体が不自由な人も輝ける社会を作りなさい」と言われているような気がして、支援学校の教師になることを志すようになった。父への想いを英語スピーチコンテストで語り、九州大会に出場した経験も持つ。将来は、教育学部の特別支援学科に進学し、聾学校の教員になりたい。また、英語での手話も習得し、海外でも活躍することが夢。 | |
名渕 公軌 和歌山県立新宮高等学校 2011年9月に紀伊半島を襲った台風12号で仲間を亡くした。直接被災したわけではない自分が水害について話してはいけないのだと考えていたが、初めてビヨンドトゥモローに参加した時、東北被災地出身の大学生の「被災の体験の辛さを比べることには意味がない」という言葉が胸に響き、自分の町を襲った水害について話していこうと思うことができた。将来は、機械工学を学び、エコカーの開発に携わり、地球温暖化の解決に寄与することが夢。世界的な課題を解決し、多くの人の役にたてるような人間になりたい。 | |
白 河榮 東北大学文学部 (福島県立会津学鳳高等学校卒業) 東日本大震災を経て、自分に何ができるかを自問し、韓国と日本の両国にルーツを持つ者として、リーダーシップ・想像力・表現力を磨き、社会に還元できる人になりたいと考えるようになった。ビヨンドトゥモローの活動では、いつもそこに集まる「人」の存在に魅了されてきた。今後の活動を通しては、与えられた機会を受動的に受け入れるだけでなく、主体的に動いていけるようになりたいと考えている。将来の夢は、アフリカやアジアの、社会経済的に困難な状況に置かれた子供たちのために活動できる教師になること。 | |
丸川 海音 広島県立広島中学校高等学校 小・中学校の同級生が10人という過疎地に育ち、山間地域の過疎地が抱える課題を目の当たりにしてきた。高校1年で初めてビヨンドトゥモローの活動に参加し、全国から集まった仲間とのディスカッションや各界で活躍するリーダーたちとの出会いに大きな刺激を受けた。日本全国及び世界の同世代の仲間との出会いを通して、自分の地域の課題をより多角的にとらえ、深い考察を身に着け、そしてそれを広島に還元していきたいと考えている。将来は、学校現場や教育行政の面から教育及び人材育成に貢献できる人間となることが夢。 | |
屋嘉比 悠希 沖縄工業高等専門学校 沖縄本島の南東にある人口500人の島で育ち、高校のない島を離れて、沖縄本島の高校に進学した。高専卒業後は、ドイツに留学し、産業界において日本とヨーロッパを繋ぐ架け橋になりたいと考えている。フェローズプログラムに参加することで、様々な意識を持つ同世代の仲間と活動し、多方面に人脈を広げ、また、各界で活躍する人々との対話を通し、その行動原理や思考について学びたい。 |
プログラム
事前研修
渡米に先立ち、参加学生たちは都内で事前研修に参加しました。事前研修では、米国を訪問する意義を改めて考え、また、ご支援いただいているサポーターたちから励ましの言葉をいただき、気持ち新たに米国訪問に臨むこととなりました。
宇宙飛行士 山崎直子氏との壮行セッション
橋本大二郎 一般財団法人教育支援グローバル基金理事長による壮行メッセージ
米国プログラム
12日間にわたる米国滞在中、参加学生たちはボストン、ワシントンDC、ニューヨークの3都市を訪問し、現地で活躍するリーダーたちとの交流を通じて、自らの手で社会変革を実現するリーダーとして活躍するモデルを学ぶとともに、日米の「多様性」の違いを調査し、日本がより多様性に寛容な社会になるために自らができることを提言としてまとめて発表しました。
ボストン
ボストンでは、世界屈指の高等教育機関等を訪問して、多様な人々の声をどのように教育現場に生かし、社会変革を担うリーダーの育成を行っているのかについて学びました。
ワシントンDC
アメリカ、そして世界の政治の中心であるワシントンDCでは、政治の中核を担うホワイトハウス、米国議会などを訪問し、アメリカ国内外の人々の声が国際・国内政治に反映される仕組みについて学びを深めました。
ニューヨーク
最終訪問先となったニューヨークでは、9/11トリビュートセンターや北米伊藤園などの記憶や文化を語り継ぐ活動に取り組む人々との交流を通して、多様性に寛容であるための土壌を育む努力を継続することで社会変革の実現を支援するモデルについて学び、最終日には、日米関係に関わるリーダーたちの前で、3都市での学びの成果を発表しました。
参加学生コメント
支援団体
米日財団
ジャパン・ソサエティー村瀬二郎記念基金