公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

【10月は里親月間!里親さんにインタビューをしました(後編)】

ビヨンドトゥモローのプログラムに参加する学生には、里親家庭に暮らす学生も少なくありません。厚生労働省の定める里親月間の10月、里親や養育家庭についてもっと身近に知っていただくために、2人の里親さんにインタビューをさせていただきました。

前編はこちら 

里親制度とは?

現在日本では親の元で暮らすことができない18歳未満の子どもは4万7千人ほどいると言われています。そのうち、里親家庭に暮らす子どもは約7000人で、全体の15%にとどまります。 近年社会的養護の下に暮らす子どもをより小規模で家庭的な環境で過ごせるよう、政府は小規模施設や里親家庭での養育を推奨する政策をとっており、平成20年の4,000人から令和2年には7,000人と、その数は年々増えています。(詳しくはこちら:厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」

 

「夢のために突き進んでほしい」

里親インタビューVol.2 Mさん

Q. 以前から里親に関心はありましたか?

‐はい、関心はありましたが、より真剣に考えるようになったのは、母をガンで亡くしたことがきっかけでした。20代までは親に養われ、その後社会で働き、次の何十年かをどう過ごしていくべきか考えた時に、やってみたいと思ったのが里親でした。日本にも機会に恵まれない子供達がいて、その子たちを世に送り出す手助けをしたいと思いました。働くことを身に着ける、学んでいける心を身に着けるということは、将来社会に出るために大事だと思っています。

Q. 里子さんとの出会いは?

‐養育里親になって5年弱で、初めて受け入れたのが今の里子です。もう4年半になりますが、初めて我が家に来たときは中学3年生でした。家族からは思春期の子を受け入れることに不安の声もありましたが、私に迷いはありませんでした。会ってみると、とても可愛い女の子で、きっと楽しい生活になるだろうと思いました。急な決定だったため、多忙を極めていた仕事の予定をやりくりしたりするのが大変でしたが、里子を受け入れてからは、なるべく早く仕事を終わらせて帰るようになりました。

Q. Mさんと出会ってから里子さんに変化はありましたか?

– これまでの生活環境から、急に家や学校が変わったこともあり、初めは学校や生活に慣れることに苦労している様子でした。私も自分にできることをしようと、転校から1か月は毎朝学校の門まで一緒に登校していました。また、当初は大人に対しての警戒心が強く、「大人は一切信用しない」と言う事もありました。その後、試し行動などもあり、互いの信頼関係を築いていくまでに時間はかかりましたが、里子を受け入れる前に決めた事として「何があっても彼女の味方でいる」と決めていたので、里子のいう言葉を全て信じることにしました。そのような積み重ねで信頼し合えるようになっていったように思います。また、高校入学の際も、コロナ禍のため、自宅で私が勉強を教えようとしたところ、嫌がられてしまい大変でした。ただ、その後は自ら学ぶ姿勢を見せてくれ、理解できるようになると楽しくなり、良い成績を取れるようになりました。サポートしたことの結果はすぐには出ないと思いますが、何年か後に成長し、今身につけていることが良い結果となって見えてくれたら嬉しく思います。

Q. ビヨンドトゥモローに参加した後の里子さんの変化は感じられますか?

‐番初めに参加した沖縄での対面プログラムの後からすぐに変化がありました。似た境遇の子たちとの「体験共有」を行ったことが大きかったようで、本人も‟心が楽になった“と言っていました。きっとこれまでの生活では肩に力を入れて過ごしていたのだと思います。様々な苦労をした子たちと出会い、頑張っている姿を見ることで、本人も頑張る気持ちが出て来たり、将来を長い目で見られるきっかけになったりしたのだと思います。我が家にいる年下の里子達に、楽しそうに「勉強しにいくんだよ」と話していたのが微笑ましかったです。

Q. そんな里子さんのこれからについて願うことはありますか?

20代は自分の夢を実現するために突き進んでほしいと思っています。困ったことや新しいことを自分で抱え込んでしまう前に、皆に相談して将来を作っていってほしい。とりあえず味方は後ろに控えている、絶対的な味方がいることを忘れないでいて欲しいです。

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