対象とする若者

ビヨンドトゥモローに参加する若者たちは、それぞれに困難を経験しながらも、その困難を糧に、前に進もうとしています。困難や悲しみの形は様々で、一律に定義づけられるものではなく、一人ひとりのストーリーが特別なものです。

困難や逆境に一律の定義がない中で、ビヨンドトゥモローでは、現在、下記のようなバックグラウンドを持つ若者たちを活動の対象としています。その背景には、多くの人とは異なる生育環境にあったことを要因とする悲しみや葛藤を経験した若者は、人の心の痛みに想いを馳せる「共感力」をもって活躍する人材となる資質があるという考えがあります。

1. 親との死別・離別を経験している

親の死亡や離婚などの事情により、ひとり親家庭となる世帯の数は増加しています。ひとり親家庭の相対的貧困率は48.2%とされ、その多くが社会経済的に困難な状況に置かれています。ひとり親世帯のほとんどは母子家庭ですが、母子家庭における就業者の内、半分以上が非正規雇用者で、平均年収は243万円と低く、7世帯に1世帯が生活保護を受給する、など厳しい状況が存在します。このため、ひとり親家庭における子どもの高卒後の進学率は低く、大学進学率は2割強にとどまります。

出典:
平成28年度全国ひとり親世帯等調査
平成27年ひとり親家庭等の現状について

山口県/大学生

農家に生まれ育ち、小学生の時に家族を支えてくれた父が自死。日本語を話すことができない母を新聞配達で支える貧しい生活の中、自分は幸せになってはいけないのだと思っていた。

青森県/短大生

余命宣告の後、母親のそばに居続けようと決心しました。しかし、母が亡くなったのはその1週間後のことでした。私は母親に何もしてあげられずに1週間を過ごしました。何度も、その時に戻って母親に何かしてあげられたらと思いましたが、過去に戻れるはずはありません。

2. 児童養護施設・里親家庭に暮らしている

保護者がいない、虐待を受けた、などの理由により社会的養護の下に暮らしている子どもたちは全国に約4万5000人います。保護理由は虐待が多く、保護された子どもたちの多くは、日本全国にある児童養護施設や里親家庭に暮らしています。社会的養護の下に暮らす子どもたちの高卒後の進学率は低く、児童養護施設児の大学・専修学校等進学率※は30.9%(全高卒者の大学・専修学校等進学率は73.8%)となっています。また、多くの子どもたちは18歳で社会的養護が終了となり、児童養護施設を退所したり、里親家庭を離れることとなりますが、その後、自立して生活する力を身に着けたり、自分が帰るべき場所を見出していくことが求められますが、その道のりは簡単なことではありません。

出典: 厚生労働省 家庭福祉課調べ 「社会的養護の現況に関する調査」
※「大学等」は、大学、短期大学、高等専門学校高等課程
※「専修学校等」は、学校教育法に基づく専修学校及び各種学校、並びに職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練施設

出典:厚生労働省子ども家庭局 厚生労働省社会援護局障害保健福祉部

岐阜県/短大生

どうしても、学校に行きたかった。学校に行くことが許されなくなった時、私は家を出るという決断をした。翌日、アルバイトに行くと嘘をついて家をでて、学校の先生に助けを求め、私は一時保護され、児童養護施設に来た。

兵庫県/専門学校生

殴られたり、踏みつけられたり、そして私の体をつかんで無理やり外に放り出そうとする母ともみあいになり、私は真夜中の外に飛び出し、そのまま警察に駆け込み、そのまま保護されました。暴力を受けることもなく、ごはんは美味しく、快適な生活でした。

3. 生活保護受給世帯に暮らしている

生活保護受給世帯の子どもは、高校卒業後には働くことが前提とされ、長い間、大学進学が認められていませんでした。最近になり、政府による、生活保護受給世帯の子どもが大学に進学するための支援制度が始まりましたが、生活保護受給世帯の大学進学率は低く、3割程度となっています。家計を支えるために、高校卒業後に就労を選ぶ子どもが多く、生活保護受給世帯の高卒者の約半数が就職という道を選択しています。

出典: 厚生労働省 子供の貧困への対応について
※大学等…大学、短大、専修学校、各種学校を含む

神奈川県 /大学生

家庭で暮らしていた時は、生活保護を受けていたので、大学進学なんて考えもしなかった。

東京都/大学生

経済的に苦しく、安売りの野菜を食べ続け、ついにはそれさえも買えずに、砂糖水で空腹をしのぐこともあり、3日食べられないことがこんなに苦しいとは知りませんでした。