ビヨンドトゥモロー アジアサマー・プログラム2019開催報告
概要
2019年9月に、「ビヨンドトゥモロー アジアサマー・プログラム2019」を、タイ・シンガポール・インドネシアの3か国で開催しました。選抜された8名の学生たちは、バンコクやシンガポールの著しい経済成長を体感した一方で、タイ北部の山岳地域に暮らす少数民族の人々や現地の大学生たちと共に、ボランティア活動やホームステイに参加しました。「自立支援」という観点から、多様な人々が構成するアジア地域の未来のために自分たちは何ができるのかを考えました。【主催】一般財団法人教育支援グローバル基金
【支援】公益財団法人関西・大阪21世紀協会日本万国博覧会記念基金
【協力】シーカー・アジア財団、バンクオブアメリカ・メリルリンチ、パヤオ大学外国語学部
【開催地】東京・タイ・シンガポール・インドネシア
【参加者】ビヨンドトゥモロー奨学金プログラム参加学生8名
プログラム・ハイライト
【東京】事前研修(9月1日)
現地での学びをより深くするため、事前研修として、国際支援活動の第一人者である木山啓子さんに自立支援についてお話を伺いました。また、タイ・チェンマイで後日訪問することになるNPO法人バーンロムサイジャパンの日本事務所を訪問し、タイにおける支援活動の経緯や内容について事前に学ぶ機会がありました。
【タイ】アジアの経済成長と地域コミュニティ(9月2日~9月10日)
タイの首都バンコクを訪問し、在タイ日本大使館や国連機関でタイ社会の様々な側面について話を伺いました。首都バンコクの経済成長のエネルギーを感じた後は、タイ北部へと移動し、山岳民族の若者が暮らす学生寮や、地元の孤児院、幼稚園、パヤオ大学などで、現地の人々との交流し、地域に根差したフィールドワークを行い、自立支援のあり方について考えました。特に、山岳民族の若者が暮らす学生寮では、泊まり込みの活動を通して親睦を深めたり、山岳民族が暮らす村にホームステイに行き、実際の暮らしを体験するなど、濃密な学びの機会となりました。
【シンガポール・インドネシア】プログラムの総括(9月11日~13日)
シンガポールでは、タイでの経験を通じて学んだことを整理し、自立支援というテーマの下に見出した課題とその解決策を考えました。そして、バンクオブアメリカ・メリルリンチのシンガポールオフィスにて、社員の方々に、課題と解決策を提言という形で英語でプレゼンテーションしました。最終日にはインドネシアで、プログラムでの学びや感じたことをふりかえり、帰国後に今回の経験をどう活かしていくかを話し合いました。
参加学生の声
“今回のプログラムで実に多くの人々と対話する機会があった。タイで働く日本人の方々、タイの大学生、山岳少数民族の子ども達、スラムに住む人々、支援団体の方々…。こんなにも違う生活をしている人が、一つの国に住んでいることに驚き、また越えられない壁を見ているようだった。格差の広まる現代社会において、最大公約数を求めるような問題解決方法は通用しないと痛感した。”
壷内楽 大阪大学外国語学部(愛媛県立今治西高等学校卒業)
カナダで生まれ、幼少期を過ごす。カナダ人の父と日本人の母が離婚し、母と兄弟と共に日本に帰国。辛い体験だったが、カナダという土地には温かい記憶がたくさんあり、いつかカナダを訪れ、父に再会したいと考えている。ビヨンドトゥモローに参加し、仲間と語り合い、様々な体験を積む中で、物事に本気で向き合い、挑戦することを知った。今後、新たに参加する仲間たちが本気で悩み、本気で楽しめる環境を創る支えになり、「ついていきたい」と思ってもらえるような存在になりたいと考えている。
“大学で勉強している経済という観点から、今回のテーマについて考え、提言として高い評価を得ることができた。これまで自分の力では国際支援は到底できないと考えていたことが、大学での学びが遠い国の人々の可能性を広げることができるのだと実感した。帰国後はフェアトレードについてより学び、行動することを目標にしている。”
岡林由里子 香川大学経済学部(土佐高等学校卒業)
幼少時に父を亡くし、以来、母子家庭に育つ。反抗期の為暴力を振るうようになった弟を抱えながら仕事を頑張る母の姿を見るのは辛く、こんな境遇にいるのは自分だけだろうと思っていたが、ビヨンドトゥモローで苦しい環境の中で頑張っている仲間たちに不安も苦しみも本音で話し、このように自分をさらけだすことができる場所があることに衝撃を受けた。自分の夢にむかって挑戦を続ける人たちの輝きに触れ、自分もそのようになりたいと、自分の人生に本気になれたと感じている。将来は、地元である高知県の地域活性化に貢献することが夢。