一般財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2019開催報告

概要

20198月下旬、今夏で8回目となる「ビヨンドトゥモロー 米国サマープログラム2019」を、米国ワシントンDC、ニューヨークにて開催しました。本プログラムに選抜された12名は、東京での事前研修を経て、ワシントンDC・ニューヨークを訪問し、「移民と多様性」という観点から各地を訪問しました。現地での交流を通して、いかに移民という存在がアメリカという国を今日の姿にしてきたか、その多様性がどんな影響を社会に与えて来たのかを目の当たりにし、米国社会について学ぶことができました。また、団体・個人との対話を通じ、自らの手で社会を変革に導くリーダーとして活躍するビジョンを具体的に描き、将来のキャリアの可能性をひろく感じる濃密な2週間ともなりました。

【主催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【支援】米日財団東京倶楽部、ニューヨーク日系人会、個人の方々のご寄付

【協力】バンクオブアメリカ・メリルリンチ

【開催地】東京・ワシントンDC・ニューヨーク

【参加者】「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム2019」、「ジャパン未来フェローシップ・プログラム2019参加学生12

背景

本事業は、日米両国の架け橋として活躍された故村瀬二郎氏のご遺志を継ぎ、日米交流の担い手となる若者がアメリカの空気に触れ、多くのアメリカ人に出会い、米国社会について学ぶことを目的とした「村瀬二郎記念奨学事業」として、米日財団、東京倶楽部、ニューヨーク日系人会及び多くの方々のご支援により開催されました。

プログラムのハイライト

【東京】事前研修(818日~19日)

渡米を前に、英語での自己表現、またプログラムテーマについてどんなことを学びたいかを整理する、英語コミュニケーションワークショップを実施しました。また、アメリカという国について事前に理解を深めるべく、当財団の評議員でもある宇宙飛行士、山崎直子さんにお話を伺い、さらに、米国大使館を訪問し、マイケル・ターナー文化・交流担当官に米国プログラムでの抱負を英語で発表し、激励の言葉をいただきました。



【ワシントンDC】政治・行政・国際機関の視点から読み解く(820日~23日)

米国内だけでなく、世界的にも政治・経済の中心とも言われるワシントンDCで最初の4日間を過ごしました。ホワイトハウス、連邦議会、世界銀行、国際労働機関、MPI(Migration Policy Institute)を訪問し、政治や行政の観点から、米国の移民事情についての現状、どのような施策がなされているのかを学びました。


【ニューヨーク】民間の視点から読み解く(824日~29日)

アメリカ社会を組織する政治や行政の仕組みについて学んだあとは、ニューヨークへと移動し、市民社会の立場から、アメリカ社会をよりよいものにするために尽力している非営利団体への訪問や、アメリカ人家族とのファミリーデーを通じて、移民問題についてだけでなく、今のアメリカを生きる人々の声をきく機会に恵まれました。最終日には、アメリカでの経験から得た学びを英語のプレゼンテーションにまとめ、発表しました。

参加学生の声

“私は大学で演劇を学んでおり、アメリカの演劇教育に関心がありました。アメリカで芸術分野で活躍される方々とお話させて頂く中で、演劇の新しい可能性を知り、そこから今回の移民問題において私ができることを見つけました。芸術は国の壁を越えて世界中の誰もが魂で触れることができ、特別な知識や技術を必要としません。そして、多様な文化や価値観を乗せて他者に共有することができる素晴らしいツールでもあります。演劇は、日本が今後移民を受け入れ、多様性を理解し共感する心を養う上で大きな役割を果たせると思います”

宇土伽怜  大阪芸術大学芸術学部(東京学芸大学附属高等学校卒業)
幼い頃からの親からの暴力、高校時代の両親の離婚など、大変なことが続く中、「私は周りの子より大変だから」と勉強への意欲を失ったこともあった。家の事情や勉強からの現実逃避のために入った劇団の活動を通し、卑屈になり閉鎖的になっていた自分の心が晴れていくのを感じた。荒んだ自分を演劇が支えてくれた経験をもとに、悩みを抱え、心が折れそうになっている人たちのために演劇を広めていきたいと考え、将来は、学校や児童養護施設を巡って公演やワークショップを行いたい。


“私は今回多くの方の支援の下、米国サマープログラムに参加できて良かったと心から思います。私の一番の目標は英語力を向上させることでした。私は英語教師を志しているため、海外で英語を磨くことができることは貴重な機会でした。現地スタッフと毎日英語でコミュニケーションをとったり、セッションをしてくださった方に英語で質問したりと日々英語を磨くことができました。自分の英語はまだまだだと痛感しましたが、モチベーションを上げることができました”

前橋亮介  広島大学教育学部(愛媛大学附属高等学校卒業)
中学生の時に両親が離婚。思い描いていた家族像を実現できないことが悲しく、父親がいない劣等感を感じ、悔しさ、悲しさ、嫉妬といった感情を整理できず、相談することもできず、一人もがき苦しんだ。高校2年生の時に初めてビヨンドトゥモローに参加し、ひた隠してきた境遇を仲間に話した。そこで出会った人たちとの交流が、自分の思考を前向きにし、夢を追い続ける原動力となっている。将来は、英語を通して生徒の可能性を最大限に広げることができる高校の教師になることが夢。

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