公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

ビヨンドトゥモロー欧州サマープログラム2014

~フランスとドイツで学ぶ、グローバル・リーダーシップ~

動画

概要

一般財団法人教育支援グローバル基金は、2014年夏に「ビヨンドトゥモロー欧州サマープログラム2014」を開催しました。本プログラムは、「米国サマープログラム」「アジアプログラム」を含む「ビヨンドトゥモロー夏季グローバル研修2014」の一環として実施されました。東北出身で、東日本大震災という困難を乗り越え、広く世界に活躍するリーダーとなる志を持つ学生たちがフランス・ドイツを訪問し、欧州の歴史や多様性について学び、また、ダイナミックなビジネスのあり方を実際に見て学ぶべく、エアバス社を訪問しました。一週間にわたるヨーロッパでの体験は、世界を舞台にしたビジネスの展開について理解を深め、また、自らの将来のキャリアについて視野を広げるきっかけとなりました。

日時

7月12日(土)~13日(日) 事前研修 7月27日(日)~8月2日(土) 欧州訪問プログラム

テーマ

欧州の多様な文化がビジネスの現場においてどのように活かされているのかを学び、東北復興におけるヒントを探す。また、欧州の人々に、東日本大震災の体験や、東北の現状を伝え、東北発のアンバサダーとしての役割を果たす。

参加者

東日本大震災の時点で、岩手・宮城・福島のいずれかの県に居住していた高校生・大学生で、震災を乗り越えて、グローバルな活躍をするリーダーになることを志す高校生・大学生10名。書類選考によって選抜されました。

浜登 美海(はまと みう) 岩手県立釜石高等学校 2年 津波により、母・妹・祖父母そして自宅を失う。昨年夏のアメリカ滞在を通し、消極的だった自分が大きく変化したと感じている。現在は発展途上国の問題に関心を持ち、不平等な立場にいる子どもや女性をサポートする団体を立ち上げることが将来の夢。より広い視野を持つためには、海外を見る必要があると考え、今回のプログラムへの参加を決意。いつかは山田に戻り、地元の復興に関わっていきたいと考えている。ビヨンドトゥモローのプログラムでは学生代表として、安倍昭恵首相夫人などの各界のリーダーの前で自らの経験をスピーチした。
千葉 美乃里(ちば みのり) 岩手県立大船渡高校 3年 震災により、自宅が全壊。避難所での生活、親類宅での生活を経験。震災から3年経っても、進みの遅い高台移転などの復興事業や、子どもたちの遊び場がなくなっていることに心を痛めており、世界の人々に東北の現状を伝えていきたいと考えている。震災の記憶を胸に刻み、また、震災時の医療に関して感じたことを次の時代につなげて活かしていくためにも、災害医療や救急医療に携わる看護師を目指している。
橋本 千空(はしもと ちひろ) 宮城県農業高等学校 3年 震災により祖父が死亡。震災で校舎の半分以上が海水に浸かり、大切なものを失った悲しみはあるが、祖父や東北を支援してくださった方への感謝の心、東北の今を伝えていくことの重要性を感じている。また、震災により、学校が被災し、ゼロから再開する経験を経て、将来は、農業高校の実習の先生となって、学べることの大切さ、尊さを次世代に伝えたいと思っている。
澤田 万尋(さわだ まひろ) 宮城県仙台第二高等学校 3年 震災後の課題は山積みであるが、若者が震災について発信することが東北の復興を加速させると考えており、自身でもこの研修で東北のことを海外へ発信したいと考えている。今まで参加したビヨンドトゥモローの研修にて、たくさんの方々と接することで刺激を受け、相手との信頼関係を築くことがリーダーの資質において重要な要素であると気づく。今回のプログラムが更なる成長に繋がるように前回のプログラムとは違う視点で異国を感じたいと考えている。また、叔父がエアバス社A380の製造において、日本に依頼された機体の一部の検査技師をしている。世界各国の英知の技術が集結したエアバス社から学びを得られる今回のプログラムに期待を寄せている。
岩渕 由佳(いわぶち ゆか) 仙台白百合学園高等学校 3年 欧州プログラムでは、東北被災地で加速する少子高齢化など、メディアでは伝えられていないことを世界に伝えたいと考えている。2013年には渡米した際、テキサス州サウス・レイク市の市長と出会い、「誰かがやってくれるのを待っていては、何も始まらない。自分から一歩前に進むことが大切だ」という言葉に刺激を受け、様々なイベントに積極的に参加するようになる。将来は、世界各国と日本を結ぶ架け橋となり、地球規模の課題に取り組んでいきたい。特に、世界の教育に興味を持っている。
上澤 知洋(かみさわ ともひろ) 【ビヨンドトゥモロー/住友化学特別奨学生】 東北大学 農学部(岩手県立盛岡第一高等学校卒業) 震災から3年経った今、行政、内陸部、沿岸部それぞれの考え方のズレを感じており、そのギャップをどう埋めるかについて今回の研修で学びたいと考えている。「農業」をキーワードに日本国内のみならず、世界における貧困問題を解決できるような支援のあり方を模索していきたいと、農学部へ進学。将来は地域を大切にする農村開発を目指し、東北のために自分にしかできないことをやりたいと考えている。2013年の夏にはイギリスに短期留学。今後も多種多様な人と出会い、新たな刺激を受けるために外国語の習得にも励んでいる。
佐藤 迅(さとう しゅん) 【ビヨンドトゥモロー/TOMODACHI特別奨学生】 東京法律専門学校仙台校 法律ビジネス学科(宮城県農業高等学校卒業) 津波で母を亡くし、自宅も奪われた。その悲しさ、悔しさは今でも忘れられないが、ある時から「ないものを見るのではなく、今あるものに目を向けよう」と思いが変化し、一歩踏み出せるようになった。辛い経験をした自分だからこそ、全力で東北復興に取り組めると考えている。2013年ビヨンドトゥモロー夏季グローバル研修で米国を訪問し、震災体験を英語でスピーチした。将来の夢は、公務員となり、地元で地域行政に携わり、東北の復興に尽力すること。
佐藤 滉(さとう こう) 【ビヨンドトゥモロー/三菱重工業特別奨学生】 高崎経済大学 地域政策学部(盛岡第一高等学校卒業) 震災を経て、被災した人々の声が未曽有の大災害の生き証人の言葉として多くの人に伝わることが、震災を風化させないための鍵であると考え、被災者の声を広く発信する伝道師としての役割を担いたいと考えている。また、自分が多くの学びの機会をビヨンドトゥモローのプログラムから得たように、下の世代にも同じような機会を提供したいと考えている。ボストンから来た学生を東北へ案内するプログラムを企画・運営したり、特技の映像制作の技術を活かした活動にも取り組んでいる。2013年ビヨンドトゥモロー夏季グローバル研修に引き続き2度目の参加。昨年はプログラム中の映像記録を担当した。
白 河榮(ぺく はーよん) 東北大学 文学部 (福島県立会津学鳳高等学校卒業) 震災を経て、福島を愛する者として、そしてたまたま大きな被害を受けず、恵まれた環境にいる者として、自分に何ができるかを考えるようになった。震災後、6歳まで住んでいた韓国を訪問した際に、原発事故に対する祖国の考え方に触れ、情報格差、異なる価値観を知る。これまでの活動の経験から、高校生が自分の意見を発信できる場をつくりたいと、自分達で企画を立ち上げるなど、自主的な活動に取り組んでいる。将来は、日本を含め世界中の女性と子どもの教育に携わること、日韓の架け橋として日韓関係の修復と改善に尽力できる人材になることが夢。
遠藤 見倫(えんどう みのり) 【ビヨンドトゥモロー/松本大特別奨学生】 石巻専修大学 経営学部(宮城県石巻北高等学校卒業) 震災で父と家を亡くし絶望の淵におかれる思いをしながらも、震災のことを多くの人に知ってもらいたいと、写真部の部長として活動した経験を活かして、被災地における津波の爪痕を写真に残しメディアを通して発信したという経験を持つ。震災を経験した者として、被災地の「今」を発信していきたいという意欲を持ち、生きている瞬間を心に刻み続けられるような活動をしていきたいと考えている。2014年2月からは、ビヨンドトゥモローにインターン生としても参加。ビヨンドトゥモローを影で支える役割を果たしている。

プログラム

事前研修

事前研修 スケジュール

場所:柏木平レイクリゾート

7月12日(土)
プログラム
午前 集合・オリエンテーション
午後

昼食 ワークショップ① 英語での自己紹介 ワークショップ② プレゼンテーション作成「世界に届けたい、東北の今」 ワークショップ③ プレゼンテーション作成「世界に届けたい、東北の今(英語版)」

プレゼンテーション発表

バーベキュー

ビヨンドトゥモローナイト

7月13日(日)
プログラム
午前 朝食・ネイチャーウオーク ダイアローグセッション「秋に見たい、自分の姿」 派遣先オリエンテーション 昨年参加学生による、欧州での学び
午後 昼食 ワークショップ④ チームチャーター作成 プレゼンテーション発表 解散

欧州でのプログラムに先立ち、参加学生たちは1泊2日で事前研修に参加しました。事前研修で学生たちは、東北出身の自分たちが欧州に訪問する意義を改めて考え、欧州での研修を通してどのようなことを学びたいか、また、東北からのアンバサダーとして自分たちは欧州の人々に何を伝えたいかを考えました。ディスカッションなどを通してチームごとにまとめ、最後に英語でプレゼンテーションを発表しました。

欧州プログラム

欧州サマープログラム スケジュール

日程 都市 内容
7月26日(土) 東京 (前泊)
7月27日(日) 東京 パリ 空路パリへ パリ到着後、送迎車によりホテルへ (夕刻)夕食・市内散策(モンマルトルの丘) (パリ泊)
7月28日(月) パリ (午前)OECD訪問・在仏日本大使館表敬訪問 (午後)ランチ・市内散策(凱旋門・シャンゼリゼ通り) (夕刻)プレゼンテーション準備 夕食 (パリ泊)
7月29日(火) パリ トゥールーズ (午前)ベルサイユ宮殿ツアー (午後)空路トゥールーズへ 到着後、送迎車にてホテルへ (夕刻) 市内散策・夕食 (トゥールーズ泊)
7月30日(水) トゥールーズ 企業訪問・交流プログラム (トゥールーズ泊)
7月31日(木) ハンブルグ (午前)送迎車にてトゥールーズ空港へ 空路ハンブルグへ(パリ経由) (午後) ハンブルグ空港到着後送迎車にてホテルへ (夕刻) 市内散策・夕食 (ハンブルグ泊)
8月1日(金) ハンブルグ 企業訪問・交流プログラム 送迎車にてハンブルグ空港へ 空路日本へ帰国
8月2日(土) 東京 日本到着 (後泊)
8月3日(日) 東京 解散

欧州で学生たちは、パリ、トゥールーズ、ハンブルグを周遊し、欧州で活躍する方々との対話セッションや、欧州が共同で設立したエアバス社での企業訪問プログラムなどを実施しました。パリでは在仏日本大使館への表敬訪問、OECD訪問を、トゥールーズとハンブルグでは、エアバス社でのプレゼンテーション、工場見学等の企業プログラムに臨みました。これらの活動を通して学生たちは、欧州において多様性が如何に地域や企業の発展に寄与しているかを学び、東北復興のためのヒントを得ることができました。


欧州で学生たちは、パリ、トゥールーズ、ハンブルグを訪問し、欧州で活躍する方々との対話セッションや、欧州が共同で設立したエアバス社での企業訪問プログラムに参加しました。

パリ

パリで活躍するリーダーたちとの対話 パリでは、在仏日本大使館へ表敬訪問し、日本とフランスを結ぶ最前線で活躍される外交官の方々を前に、震災後の東北の今についてプレゼンテーションを行いました。また、OECD(経済協力開発機構)を訪問し、同機構で活躍される日本人の方々から、様々な国の人々が集まる国際機関で働くことの難しさや醍醐味を学びました。

 
OECD訪問
 
パリ市内散策

トゥールーズ

グローバルな航空ビジネスを牽引するエアバス本社を訪問 トゥールーズでは、エアバス本社を訪問させて頂きました。世界中からトップクラスの技術と頭脳が集まる同社において、多様性がどのようにビジネスの発展と航空業界の未来に貢献するかを学び、東北復興のためのヒントを得ました。また、同社で活躍されるリーダーたちの前で、東北の現状を発信しました。
 
東日本大震災についてエアバス本社でプレゼンテーション
 
エアバス機見学

エアバス本社の社員の方々との交流
 
トゥルーズ市内散策

ハンブルグ

エアバス社の未来を背負う若きリーダーたちとの対話 ドイツ・ハンブルグでは、エアバス社の工場や、未来の技術者を養成する訓練施設を訪問させて頂きました。同社のトップクラスの航空ビジネスにおいて研鑽を積むべく世界各国から集まった若者たちと交流し、東北の現状についてプレゼンテーションを行いました。また学生たちは、トゥールーズのエアバス社で学んだ多様性を、東北の復興にどう活かすかをまとめた最終提言を発表しました。
 
エアバス社でのブリーフィング

エアバス社の方によるプレゼンテーション

支援企業・団体

エアバス

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