公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

米国スプリングプログラム2023開催報告

概要

2023年2月20日~28日に、約3年半ぶりの海外研修となる、米国プログラムをハワイ州にて実施しました。事前選考により、ジャパン未来スカラーシップ・プログラムに参加経験のある大学生より8名が選抜され、東京での事前研修を経て、ハワイ州を訪問しました。米国でも多様性指数の高いハワイ州において、社会における「多様性と共生」の現状を学ぶため、各所を訪問し、現地の人々との交流を重ねました。現地での交流を通し、学生達はハワイの人々がどのように多民族社会を築き上げ、他者を受け入れてきたか、お互いを尊重し合うための考え方や取り組みについて知る機会を持ちました。また、様々な団体、個人との出会いを通し、グローバルな視野を持つ大切さやリーダーとしての心構えを感じることができ、今後に向けてモチベーションを大いに高めることのできる研修となりました。


【主催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【支援】米日財団、 NY 日系人会・ジャパン・ソサエティー村瀬二郎記念基金、

    BofA証券株式会社

【参加者】

「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム2020」

「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム2021」

「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム2022」

より選出された大学生8名

※新型コロナウイルスの影響により、海外研修が中止された年の奨学生も対象とする

【プログラムテーマ】ハワイから学ぶ多様性・多文化共生社会のあり方

【提言発表テーマ】誰もが暮らしやすい社会づくりのために、私たちにできること

背景「NY 日系人会・ジャパン・ソサエティー村瀬二郎記念基金」

本事業は、日米両国の架け橋として活躍された故村瀬二郎氏のご遺志を継ぎ、日米交流の担い手となる若者がアメリカの空気に触れ、多くのアメリカ人に出会い、米国社会について学ぶことを目的とした「村瀬二郎記念奨学事業」として、米日財団、ニューヨーク日系人会及び多くの方々のご支援により開催されました。


プログラムハイライト

【東京】直前研修(2月20日~21日)

渡米前日より、日本各地から奨学生が集まり、ハワイ渡航に向けての目標設定や、米国およびハワイについて、多文化共生における日本の課題など、事前にリサーチを行ってきた学びを共有しあったり、積極的に現地の人々と英語でコミュニケーションをとるための、英語コミュニケーションワークショップを行いました。

また、ハワイに居住経験のある歌手、早見優さんにご登場いただき、ハワイでの暮らしや米国と日本の文化の違いなどについて興味深いお話をいただいたほか、ハワイ日米協会理事なども務められた、浅沼正和氏にお越しいただき、ハワイの歴史やハワイ社会における日系人の歴史などをお話いただき、事前の知識習得をサポートしていただきました。

英語コミュニケーションワークショップでは、BofA証券株式会社の社員ボランティアの皆様に協力いただき、自己紹介やディスカッションなど、様々な場面で役立つ英語コミュニケーションのサポートをいただきました。

早見優様、BofA証券株式会社の社員ボランティアの方々と

 

 

 

 

 

 

【ハワイ】現地研修(2月21日~27日)

ハワイ到着後には、米国ハワイにてどのように多文化共生が実現されているか、様々な教育機関や非営利団体への訪問、各所での人々との交流、米国でキャリアを築かれた方々のスピーカーセッション等を通し学びました。

日米の歴史を知る

ハワイの歴史の研究と保存を目的とするハワイ最大の博物館、ビショップミュージアムの訪問や、真珠湾攻撃の舞台となったパールハーバー、日系人の移民の歴史を紹介するハワイ日本文化センターを訪問。ハワイの歴史や日本との関り、日系移民の人々のハワイにおける移住の歴史、平和と安全とは何かを学びました。

ビショップミュージアム、パールハーバー訪問

 

 

 

 

 

 

ハワイ日本文化センター訪問

 

 

 

 

 

教育機関への訪問

ハワイ最大の私大、ハワイパシフィック大学や現地の小学校を訪れ、多文化共生社会においての教育機関の役割を学びました。様々なバックグラウンドを持つハワイパシフィック大学の学生達との交流を行い、学びや生活の中で感じる多様性について意見交換しました。

ハワイパシフィック大学

 

 

 

 

 

ハワイアンバプティストアカデミー(小学校)

 

 

 

 

 

 

 

企業訪問、スピーカーセッション

日系人や米国の人々が共に業務を行う環境において、企業としてどのような環境整備を行っているのか、世界各国からの観光客を受け入れるHISホノルル支店を見学させていただきました。また、現在ハワイにてホームステイ事業を展開される、ナオミ・パーマー氏や、フィッシュ・ファミリー財団の理事であり、日本女性のリーダーシップを育成するJWLI(Japanese Women‘s Leadership Initiative)を創設された厚子・東光・フィッシュ氏に、グローバルな視野で物事を捉え、自身のキャリアを描くこと、オープンなマインドで他者を尊重し、行動に反映させることの重要性をお話いただきました。

ナオミ・パーマー氏(左・前列左)、厚子・東光・フィッシュ様(右・右から2人目)

 

 

 

 

 

 

現地市民団体への訪問

子供達が体験する家族の喪失やトラウマ体験などを、2001 年より支援している
民間団体「Kids Hurt Too Hawaii」や、6 歳~16 歳までの大切なつながりを亡くし逆境を経験している若者の支援を行う「Big Brothers Big Sisters Hawaii」の2団体を訪問し、心のケアを必要とする子どもや若者の声を受け止め、社会に羽ばたくまでの過程をどのように応援しているかを聞かせていただきました。

Big Brothers Big Sisters Hawaii(左)、Kids Hurt Too Hawaii(右)を訪問

 

 

 

 

 

ホームステイ&ボランティア体験

ハワイに滞在する短い期間のなかで も、現地の人々の生活や考えに触れる機会を持つため、半日ホームステイ体験を行いました。また、日米協会主催の「Japan Wizards Competition」にボランティアとして参加し、日本に興味のある現地大学生に向け、日本の伝統的な遊びを紹介しました。

Japan Wizards Competitionにて福笑いを紹介


 

 

 

 

 

 

参加学生の声

“初の海外で怖いと思っていたが、そんなことはなく、また海外に行きたいと思った。英語も直接話した方が得られるものが沢山あることを知った。また、パールハーバーに行き、立場によって考えや歴史が全然違うことを知った。今後は様々な立場に立って1つの物事について考えたい。”

“英語力だけでなく、挑戦力、好奇心力がアップした!聞きたい!質問したい!という気持ちに素直になることができた。”

“自分の考えは自分の環境や経験から生み出されるため、多くの経験をして、考えの幅を広げたいと思う。今までやっていないことにも挑戦したい!”

“(多様性について)周りに流されて、知らず知らずのうちに排他的になってしまう危険性を知った。何か違うな、と思ったとしても、受け入れようとする姿勢を大事にしたい。ハワイの良さに沢山気づいたが、一方で日本の良さも再確認できた。別の視点で考えることを今後も意識したい。”

約3年半ぶりの海外研修実施ということで、今回は通常よりも短い日程での研修となりましたが、学生達は、多くの方々の応援によりこの海外研修が実現したことをしっかりと受け止めながら、強行軍のスケジュールを全員、全てこなすことができました。多様な人種、宗教などの人々が互いを尊重し、支え合いながら社会を創っているハワイで、「誰もが暮らしやすい社会づくりとは何か」、「私達にできることはなんだろうか」を問い続ける9日間。この経験は学生達のこれからを考える上で大切なものとなるはずです。私達を温かく迎え入れてくださったハワイの皆様にも、心より御礼申し上げます。

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