公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

~人と人をつなぐリーダーとは~ 米国サマー・プログラム2025実施報告

村瀬二郎記念奨学事業

2025年9月6日~14日、ビヨンドトゥモローは「米国サマー・プログラム2025」を開催しました。本プログラムは、公益財団法人 JKAのオートレース助成金および村瀬二郎記念基金のご支援を受け、選抜された10名の学生がニューヨークとワシントンD.C.を訪問し、アメリカ社会・文化について学びました。

 

主催                            公益財団法人教育支援グローバル基金

支援                            村瀬二郎記念基金、公益財団法人 JKA

開催場所                    東京/ニューヨーク/ワシントンD.C.

 

プログラム概要

2012年から継続して行われている米国サマー・プログラム。本プログラムでは、選抜された10名の若者がニューヨークとワシントンD.C.を訪問し、アメリカの社会や文化について学びました。

2025年度は「人と人を繋ぐリーダーとは?-今私たちにできること-」
(Aspired leaders connecting people – The first steps to be taken now)
をテーマに掲げ、分断が進む現代社会において、参加者一人ひとりが人と人を繋ぐリーダーとしてどのように行動できるかを考えました。様々な企業や団体、教育機関などへの訪問や、各所で活躍される方々との交流をもとに、仲間同士で議論を重ね、研修後に具体的な一歩を踏み出せるような成長機会を提供することを目的としました。

本事業は、日米両国の架け橋として活躍された故村瀬二郎氏のご遺志を継ぎ、日米交流の担い手となる若者がアメリカの空気に触れ、多くのアメリカ人に出会い、米国社会について学ぶことを目的とした「村瀬二郎記念奨学事業」として運営しています。

主なプログラム

直前研修(東京)

渡米前日は英会話ワークショップと事前学習発表会を実施。
学生は「社会分断はなぜ起こるか-米国の事例から学ぶ今私たちができること」をテーマに発表し、出発への意欲を高めました。

 

米国研修

ワシントンD.C.(政治・行政・教育の視点)

  • Columbia Heights Education Campus 訪問
    多様な背景を持つ現地高校生と交流し、日米の教育や社会について意見交換。

  • 日本大使館表敬訪問
    山田重夫特命全権大使に面会。外交官としての役割や日米関係について伺いました。

  • 米国議会議事堂見学
    立法府の役割と政策決定の仕組みを学びました。

  • ジョン·サリバン元駐ロシア米国大使による講和
    メイヤー・ブラウン法律事務所において、ジョン·サリバン元駐ロシア米国大使による講和や、ワシントンD.C.在住の日本人弁護士や支援者の方々と交流しました。

 

ニューヨーク(民間・国際社会の視点)

  • 9/11メモリアル&ミュージアム見学
    2002年に発生した同時多発テロの歴史と教訓を学び、多様性や共生について考えを深めました。

  • 国連本部訪問
    国際問題解決の現場を視察し、国際社会における日本と若者の役割を考えました。

  • NY Common Pantryでのボランティア体験
    食糧不安に直面する人々への支援活動を体験し、200食の食事提供をサポートしました。

  • Estée Lauder社 訪問
    グローバル企業であるエスティローダー本社を訪問し、多様性とインクルージョンの推進について企業の取り組みを学習しました。

  • 中満泉 国連事務次長 表敬訪問
    国際平和と安全保障などのグローバルな課題や、国際的な機関においてのキャリアなどについてお話を聞き、奨学生との質疑応答を行いました。

  • 最終プレゼンテーション
    研修で得た学びを踏まえ、「人と人をつなぐリーダーとしての第一歩」を、大勢のゲストの前で英語で発表しました。

 

 

参加者の声

・印象的だった訪問場所について

“プログラムで最も印象的だった活動は、コモンパントリーさんでのボランティア活動です。食材を渡す瞬間に言われるお礼の言葉や笑顔に感謝の気持ちは言語が違っても通じるのだなと感じました。”

“コモンパントリーのボランティア活動は非常に印象的で、記憶に残っている。(中略)日本の識字率は高いと知識としては知っていたが、いざ文字の書けない人を目の当たりにすると本当の意味で問題意識を感じた。アメリカは自由な国というくらいで、多くの人に成功の機会の場が開かれている。しかし、やはり家庭の事情で受けられる教育の格差は大きく、まともな初等教育も受けられていない人がアメリカンドリームを掴むのは不可能な気がする。全ての人に教育の機会が行き渡るよう自分にできることを模索していきたい。”

 “最終日の発表後のレセプションパーティーでは、アメリカで活躍されている日本人の方や、自分の興味のある業界で活躍されている方々と交流でき、自分もこうなりたいという憧れのような存在の方々に出会うことができました。”

“全てのプログラムに共通して印象に残っているのは、出会った方たちが私たちに対して「希望」や「期待」を持ってくださっているのではないかなと思ったことです。そう思った理由としては、出会った皆さんが「このことを将来に繋げてね」や「皆さんの未来を応援しています」といった未来に関する言葉を投げかけてくださりました。その言葉をかけられる度に頑張らないとなと思うことができ、この夢を追いかけることを肯定してもらったような気がして日本にいた時よりも自信がつきました。”

・研修に参加して

“プログラムを通して、自分の中の知的好奇心が強く刺激された。また、自分とは全く違う人生を歩んでいる人との会話の重要性をあらためて考え直すことができた。大学生になり、今までの勉強漬けの毎日から解放され、何かを頑張っていると胸を張って言えないことがずっとモヤモヤしていた。今回の研修を通して様々な経験をし、自分の英語力の低さ、政治やその他教養のなさを痛感した。9.11メモリアルや国連本部ツアーなどで様々な説明を受けたが、前提知識の乏しさもあいまり、理解が薄かった印象がある。今までやろうと思っても行動に移せていなかった英語学習に改めて本腰を入れて取り組みたいなと強く感じた。また、政治家や官僚など様々な人と出会い、より広い世界を知りたいなと思った。将来、臨床の現場で医師として働くためには多様なバックグラウンドを持った患者さんに対応する必要がある。そのためにも、今回のプログラムで再燃した知的好奇心、成長意欲を忘れず、日々アクションを起こしていきたいと思います。”

“プログラム参加前後を比べて、変化したこと、成長したことは自分のこれまでの生き方とこれからの生き方です。
これまでの私は周りの意見や期待、自分の置かれている状況を加味して進む道を決めてきました。その方が誰から何を言われることもないし、挫折することも失敗することも、嫌な現実を見ることもなかったからです。そういう生き方をしてきたからこそ諦め癖がつき、チャレンジすることを放棄していました。今思えばただの意気地無しです。しかし、この一週間アメリカで色んな人と出会い、色んな考え、価値観に触れたことでその気持ちにも変化がありました。アメリカで出会った人たちはみんな人生を「自分のもの」と思っていて、何を選ぶも自分のため、自分の自由であると堂々と話されていました。(中略)その時に私はこれまでの自分の生き方を肯定的に否定されたような気がして、今回をきっかけに絶対に変えようと思いました。やりたいことにはもっとチャレンジしていきたいし、いっぱい失敗して、挫折してでもそこから見える何かを得たいと思えるようになりました。出会った方々のように自分のこれまで生きてきた人生に誇りを持てるように、楽しかったなと思えるように生きていきたいと思えるようになったのが大きな変化だと思います。”

 

 

ご支援への感謝

本プログラムは、公益財団法人 JKAのオートレース補助金、および村瀬二郎記念基金のご支援により実現しました。あたたかいご支援に心より御礼申し上げます。

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