公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

ビヨンドトゥモロー 東北未来リーダーズサミット2014

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概要

一般財団法人教育支援グローバル基金は、2011年から数え第4回目となる、東北のリーダーシッププログラム「東北未来リーダーズサミット2014」を開催しました。本サミットは、東日本大震災により被災し、困難な状況を経験しながらも、グローバルな視野を持ち国内外で活躍する志をもつ若者を対象としています。書類選考により選ばれた54名の高校生と、ビヨンドトゥモローの活動に継続的に参加して、未来へ向かいそれぞれの社会的アクションを起こしている22名の大学生が、様々な領域で活躍するリーダーたちによるアドバイスの下、東北の復興のあり方について、チーム毎に提言をまとめました。震災・津波という困難を経験したからこそ、他者への共感をもって広い社会のために行動を起こすことができる人材が出てくるという信念のもとに、このサミットでは参加学生が、逆境を乗り越えて果たすべき社会的な役割について考え、アクションに移すきっかけを提供しました。

目的

  • 「東北の未来への提言」を策定する
    自らの経験や周囲の人々の声に基づき、東北の復興の在り方について議論し、提言として発表する。
  • 東北発のリーダーとなる仲間たちとの場の構築
    困難な体験を、人のために役に立つ力に変えていくという志を共有する仲間たちと出会い、かけがえのない関係を構築する。
  • 自らの将来のビジョンを具体的に描く
    様々な領域で活躍するリーダーやサミットで出会う仲間との対話を通し、自分の生き方や将来の夢に思いを馳せる。
  • 自分との対話をする
    これまでの自分や、これからの自分を、自分との対話の中で見つめ直し気づきを得る。

日程・開催地

2014年10月11日・12日
国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・渋谷)

2014年10月13日
東京ビルディング(ガリバーインターナショナル株式会社内)(東京・丸の内)

参加者

参加高校生

東日本大震災の際に、岩手・宮城・福島のいずれかの県に居住しており、震災を乗り越えてグローバルな視野を持ち国内外で活躍するリーダーになることを志す高校生54名。(書類選考で選出)

チームリーダー

『ビヨンドトゥモロー 東北未来フェローズ・プログラム2014』に参加する大学1年生7名と『ビヨンドトゥモロー 大学スカラーシップ・プログラム』に参加する大学3年生1名が、高校生のチームにチームリーダーとして加わり、2泊3日参加高校生と向き合い、サポートしました。

大学生参加者

『ビヨンドトゥモロー 大学スカラーシップ・プログラム』に参加する大学3年生8名と、『ビヨンドトゥモロー 東北未来フェローズ・プログラム2013』に参加する大学2年生6名が、それぞれチームを作り、提言策定に臨みました。

提言アドバイザー

様々な領域でプロフェッショナルとして活躍する提言アドバイザーが、各チームをサポートしました。参加学生たちの思いを受け止め、それらを基盤とした東北の未来についての議論をサポートし、具体的な提言へと導きました。

(敬称略・五十音順)

秋元悠史
隠岐國学習センター
籠島康治
株式会社電通 クリエーティブディレクター
高須直子
国連開発計画駐日代表事務所 プログラム・マネージメント・スペシャリスト
髙森雅和
公益財団法人東日本大震災復興支援財団
寺田拓真
広島県教育委員会 教育改革推進課長
永見世央
ラクスル株式会社 CFO
原聖吾
マッキンゼー・アンド・カンパニー
松古樹美
野村アセットマネジメント株式会社 海外ビジネス戦略部 シニアマネージャー
宮沢正知
国土交通省
矢部寛明
一般社団法人アショカ・ジャパン ユースベンチャープログラムリーダー

専門家

学生が東北の復興を考える上で、各分野の第一人者から必要なインプットを頂きました。

(敬称略・五十音順)

小島希世子
特定非営利活動法人 農スクール
加治慶光
アクセンチュア株式会社 チーフ・マーケティング・イノベ―ター
曽根原久司
NPO法人 えがおつなげて 代表理事
山崎亮
studio-L 代表

プログラム概要

被災体験の共有

東日本大震災震災から3年。参加者は、歳月を経ても打ち明けることの出来なかった3年分の思い、向き合うことの出来なかった自分の経験と向き合い、仲間たちと共有しました。涙を流しながら語り、そして、聴く参加者たち。初めて出会った人々が集ったとは思えないような安心感のある空間がそこにはあり、各チームで共有された思いは、2泊3日の基礎となりました。

“大きな辛い体験をもっている人に、私は伝えたいです。辛い体験を乗り越える必要なんてないと。私だって、まだ1%も乗り越えていないです。でも、乗り越えたかどうかを、決めつける必要なんてないと思うし、このサミットで、出会えた人を大切にできたらいいと思っています。

安倍有紀
日本大学法学部(日本大学東北高等学校卒業)

震災前、勉強もできず、何に対しても一生懸命取り組むことのなかった自分は、母に何の親孝行をすることもできませんでした。でも、こうして自らの被災体験を話し、人とつながっていくことが、今の自分にできる唯一の親孝行なのです。 佐藤迅
東京法律専門学校仙台校 法律ビジネス学科
(宮城県農業高等学校卒業)

震災を経験して、人の温かさに気づき、当たり前にいる存在を大事にしようと思える自分に生まれ変わることができました。震災は私にとって、とても辛い出来事でしたが、私を確実に強くさせてくれました。

浜登美海
岩手県立釜石高等学校 2年

課題発表

2日目の朝、各チームが2日間取り組む課題が発表されました。

「地方創生―魅力ある東北の実現」

東北の復興とは、日本全国、そして世界的に見て、より魅力的な地域になることです。東北に既にある魅力や、自分たちがまだ気づいていない良さに、若い世代のアイディアを融合し、地域の活性化をしていくことが求められます。今回のサミットでは、「東北地方の創生」がどのようにしたら実現できるのかを話し合い、それが復興にどのように結びつくか、また、東北で課題になっている人口流出を食い止めるために活きるかを、提言にまとめます。

小泉進次郎内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官からのレター

東北未来リーダーズサミット2014開催にあたり、小泉進次郎内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官より参加者宛に激励の手紙を頂戴致しました。

東北の復興はイコール東北地方の創生です。東北未来リーダーズサミットに参加してくれた皆さんには、是非、皆さんが考える東北地方の創生とはどのようなものか、東北地方の創生のためにはどんな課題があり、何が必要かについて、みんなで考え、議論しあって、発表してほしいと思います。

ビヨンドトゥモロー東北未来リーダーズサミット2014へのメッセージ

 皆さんこんにちは、小泉進次郎です。

本日のビヨンドトゥモロー東北未来リーダーズサミット2014に、東北被災地を代表する高校生・大学生である皆さんが集結したことを大変心強く思っています。これまでもビヨンドトゥモローの学生の皆さんとの対話を続けてきましたが、それぞれに大きな哀しみを抱えながらも、復興にむけて自分たちで東北の未来を作っていこうという意志に強い感銘を受けました。

東日本大震災から3年半以上が経ちましたが、東北には様々な社会課題が山積しています。これらの課題の解決には、長い年月がかかるかもしれません。しかし、この場に集う皆さんは、東日本大震災という困難な体験を共有する仲間として、信頼しあい、手をとりあうことができる存在です。その仲間たちとならば、難しい課題にも立ち向かっていくことができることでしょう。

今回の東北未来リーダーズサミットは、第4回目の開催ときいています。このような場で、皆さんが東北の現実の課題について考え、提言をまとめるというのはすばらしいことだと思っています。明日の提言発表会には、私も出席する予定です。そこで皆さんの提言をきくことを楽しみにしています。

ご存知のとおり、安倍政権の最重要課題の一つが地方創生です。これは、過度な東京への一極集中を排し、人口急減を食い止め、魅力ある地方を作っていくというものです。東北の復興はイコール東北地方の創生です。東北未来リーダーズサミットに参加してくれた皆さんには、是非、皆さんが考える東北地方の創生とはどのようなものか、東北地方の創生のためにはどんな課題があり、何が必要かについて、みんなで考え、議論しあって、発表してほしいと思います。

東北の未来を担うのは皆さんです。この東北未来リーダーズサミットの場で、本気で考え、話し合い、ぶつかりあった結果の提言が、皆さんの故郷の未来を創っていくことでしょう。ぜひ頑張ってください。

では明日、お会いしましょう!

小泉進次郎 内閣府大臣政務官・復興大臣政務官

テーマ

  1. 高校生の部:地方創生×東北復興
  2. 大学生の部:地方創生×東北沿岸部における人口流出を食い止めるための施策

現地のニーズの理解

参加学生は、提言策定に向け、現地のニーズを把握することから始めました。震災から3年半が経った今、東北で何が求められているのか、本当に必要な政策とは何か。参加学生は、自らの体験と、現地の声を元に議論しました。

共有された現地の声

津波で失われた病院や役所等、必要な施設が再建され、住民が安心して暮らせる環境が戻ってくることが必要。同時に、学校など、将来地域を支える人材を育てられる施設も必要。これらが整えば、雄勝に戻ろうと考える人も増えると思うが、住民を増やす・呼び戻すためには、スピードが重要であり、また、住民が結束して魅力あるまちづくりをしなければならない。

「真の復興」とは、完璧に震災前の状態に戻るのではなく、たとえ前とは違った形であっても、今できるもので置き換えようとする状況である。世間では風化を止めようとする動きが多いが、風化することが必ずしも悪いことだとは思わない。「真の復興」は、震災を通して人生や価値観が変わった人たちが夢や理想を実現しようと前を向くことで達成されるのではないか。

 

スピーカーセッション・専門家インタビューセッション

東北を魅力ある地域にするためには、何が求められているか。日本全国で、様々な形で地方創生に携わっている専門家の方々に経験・知見を共有して頂き、学生たちは、東北でどのように活かすことが出来るかを考えました。学生たちが自分たちの考えを専門家の方々にぶつけたインタラクティブなセッションには、学生と専門家の真剣勝負がありました。

-農業で地方と都市をつなぐ-

小島 希世子
特定非営利活動法人 農スクール

1978年熊本県生まれ、慶應義塾大学卒。大学卒業後、産地直送の会社に勤務、退職後、熊本県の有機栽培に取り組む農家の奥さん達と農家直送の通販を立ち上げ、株式会社えと菜園として法人化。その他、消費者の方向けの農業体験サービスの提供や、働きたいけど仕事がないホームレスや生活保護受給者と人手不足の農業界をつなぐ取組(NPO農スクール)をしている。初の書籍「ホームレス農園」(河出書房新社)10月28日発売予定。

-人口流出に対する政策と地方創生-

加治 慶光
アクセンチュア株式会社 チーフ・マーケティング・イノベ―ター

富士銀行、広告会社を経てケロッグ経営大学院にてMBA修了。日本コカ・コーラにてコカ・コーラ、ジョージア等担当。タイム・ワーナーやソニー・ピクチャーズで数々の映画やテレビアニメに関わる。その後、日産自動車にて高級車担当マーケティング・ダイレクターとして市場戦略構築・実施を指揮後2016東京オリンピック・パラリンピック招致委員会に出向、帰任し電気自動車Nissan LEAF世界導入に参画。2011年より内閣官房官邸国際広報室参事官として、震災対応、ソーシャルメディア、2020招致、ダボス会議等を担当。本年2月より現職。

-林業による地域活性化-

曽根原 久司
NPO法人 えがおつなげて 代表理事

1961年長野県に生まれる。1985年明治大学卒業後、経営コンサルタント等を経て、1995年東京から山梨の農山村地域へ移住。2001年「村・人・時代づくり」をコンセプトに「NPOえがおつなげて」を設立。地域と一緒になり、また、地域外と連携しながら、耕作放棄地の再生や農山村と都市の交流を進め、現在、企業ファーム、一村一社運動、農村ボランテイアや農村インターンなど、農業をきっかけにした様々な地域の活性化に取り組む。

-魅力ある地域づくり-

山崎亮
studio-L 代表

地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。主な著書に『コミュニティデザイン』(学芸出版社:不動産協会賞受賞)、『ソーシャルデザイン・アトラス』(鹿島出版会)などがある。

最終提言発表

学生たちは、2泊3日のプログラムの集大成を、最終日の閉会式/提言発表会の場にぶつけました。会場には、ビジネス、行政、アカデミア、芸術、メディア、NPOなど、様々な領域で活躍されているリーダーたちがゲストとして駆けつけ、学生の提言に耳を傾けました。

閉会式/提言発表会には、小泉進次郎内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官や、竹中平蔵慶應義塾大学教授にもお越し頂き、学生たちへのエールを頂きました。

学生たちの、東北の未来への熱い思いと、未来のリーダーたちのパワーを受け止める各界のリーダーたちが集まった閉会式/提言発表会は、熱気に溢れた特別な場となりました。


 学生スピーチ

7人家族で生まれて育って、結果、一人になってしまって、残ったのがなぜ自分なんだろう、生きていてもっと役に立てる人なんて私以上にたくさんいるだろうと思いました。でも、震災後の日々を思うと、一人では絶対に生きていくことはできませんでした。たくさんの人の支えがあり、私は生きることができています。本当にたくさんの人たちが、私を助けてくれました。

横田万弥
宮城県気仙沼高等学校 1年

3年前、私はこの東北未来リーダーズサミットで自分の被災体験を話しました。その時、「他の人からみれば私はかわいそうな高校生かもしれませんが、私はそうは思いません」と言いました。それを言えた時、私の中で、何かが変わったのを感じました。辛い体験を話したことで、前に進む力を創ることができた。自分で自分を勇気づけることができた。これから、他の高校生たちも、震災の体験を共有する機会があるかもしれません。その時、辛い体験を話すことは、自分で自分が前に進む力をつくることになると、知ってほしいと、思っています。

菅原彩加
慶応義塾大学総合政策学部 進学予定(2015年4月)
(Leysin American School卒業)

支援団体


ジャパン・ソサエティー

2015年も、第5回目となる東北未来リーダーズサミットを開催いたします。同サミット開催に際しては、日本全国の若者を対象にした「ジャパン未来リーダーズサミット」を同時開催する予定です。これまで、東北被災地の学生たちを対象として来た人材育成事業を東北以外の地にも広げ、日本の未来を担う人材輩出に努めてまいります。

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