公益財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

ジャパン未来リーダーズサミット2019 開催報告

概要

2019年11月2日~4日に、日本全国から集う高校生・大学生約70名が集う「ジャパン未来リーダーズサミット2019」が開催されました。親との死別・離別を経験したり、児童養護施設や里親家庭、生活保護受給世帯などに暮らす若者が集い、様々な領域で活躍するリーダーたちによるアドバイスの下、「自立支援」をテーマにグループ毎に提言をまとめました。その提言は、最終日に、各領域で活躍するリーダーたちの前で参加学生たちによって発表されました。日本の各地から集う次世代を担う若者たちが、社会に実在する課題について考え、話し合い、最終的には地域、日本、世界の未来につながる提言を学生たち自らの手によって考案する機会となりました。

【主催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【支援】バンクオブアメリカ・メリルリンチ

【後援】文部科学省

【参加者】 以下の条件を満たす約70名の高校生・大学生(選考によって選出)
 - 保護者が死亡している
 - 単親家庭(母子家庭・父子家庭)に暮らしている
 - 児童養護施設などの社会的養護の施設に暮らしている
 - 里親家庭に暮らしている
 - 生活保護受給世帯に暮らしている

【スケジュール】
1日目 集合、オリエンテーション、アイスブレーキング、体験共有/マイストーリー
2日目 ふるさと自慢、チームディスカッション、スピーカーセッション、提言作成、ディナーパーティー
3日目 プレゼンテーション準備、閉会式/提言発表、フェアウエルランチ、奨学金ガイダンス、ふりかえり

プログラムハイライト


サミット期間中は、チームにわかれて活動。大学生たちがチームリーダーとして、高校生たちをサポートしました。


社会人プロフェッショナルの方々がメンターとして、学生たちによりそい、提言作成のプロセスにアドバイスを提供する他、将来のキャリアについても助言する場面がありました。

【メンター一覧】
 〇伊東成海 モルガン・ルイス&バッキアス法律事務所 弁護士
 〇岡崎祐吉 あしなが育英会 事務局長/国際担当理事
 〇小野崎耕平 特定非営利活動法人 日本医療政策機構 理事
 〇籠島康治 株式会社電通 クリエーティブ・ディレクター/コピーライター
 〇佐々木淳也 厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室 室長補佐
 〇全智穂 ウィザーズ弁護士法人 弁護士
 〇林礼子 メリルリンチ日本証券株式会社 取締役副社長
 〇和田真一 日本銀行 金融機構局企画役
 〇渡辺嘉久 読売新聞東京本社 編集委員 ※五十音順、敬称略


「自立支援」をテーマに、チームごとに提言をまとめる過程では意見が飛び交い、ディスカッションが白熱しました。「社会がどうあるべきか」ではなく「自分たちに何ができるか」を提案するプレゼンテーションです。


サミット中のディナーパーティーではマジックショーやダンスパフォーマンスも開催されました。


最終日の閉会式には、全学生が提言発表プレゼンテーションを行い、審査員による投票にて優勝チームが決定されました。

【ゲスト】
 加藤勝信 厚生労働大臣
 竹中平蔵 慶應義塾大学名誉教授
【提言発表審査員】
 久野明子 一般社団法人日米協会 副会長
 佐々江信子 信子フォーラムジャパン 代表
 塩崎彰久 長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士
 橋本大二郎 一般財団法人教育支援グローバル基金 理事長
 箕浦裕 メリルリンチ日本証券株式会社 代表取締役会長
 ※五十音順、敬称略

参加学生の声

“今までは、自分のために涙することはあっても、誰かのために涙したことはあまりなかった。今回、人の痛みを理解しようとする時、誰かが一歩ふみ出したと思った時、自然と涙がこぼれた。今回のサミットで「つらい気持ちを押し殺さず、つらいことはつらいと言ってみよう」とたくさん伝えた。「救われた気がする」「ここに来られて本当によかった」と言われ、とてもうれしかった。だからこそこれからも、「伝える」ことを続けようと思う。誰かの心の支えになっていたい、そう強く思う。”

中野紫響  開智国際大学教育学部(東京都立南葛飾高等学校卒業)
幼い頃に両親が離婚。父がいないことで心ないことを言われた時も、太陽のように自分を守ってくれた母が、高校2年生の時に他界。つらく苦しい闘病生活の中でも笑顔を絶やさなかった母がいなくなった世界で自分はどのように生きればいいのかわからず、現実を受け入れられない日々が続いた。しかし、母は自分に笑顔でいてほしいと願っているはずだと考え、うつむいたまま大人になることをやめると決意した。母を亡くし、もがき苦しんでいた時に自分が求めた「心のぬくもり」を与えられるような教師になることを決意し、進学を果たした。

“大変なことの連続で、なぜこんなに苦労ばかりふってくるのだろうと思ったこともあります。でも、もし自分に全く苦労がなかったら、弱い立場にある人に気づくこともなく、何も考えずに過ごしていたかもしれないと思います。なので、幼少期の虐待も、その後の苦労も、それをマイナスなこととして位置づけるのではなく、プラスに位置づけ、前に進むための力にしたいし、それを人に知ってほしいと思っています。そして、高校生の皆にも本当に伝えたいことは 自分のために一生懸命生きてください。”

杉本明日美  横浜労災看護専門学校(広島修道大学附属鈴峯女子高等学校卒業)
虐待から保護され、児童養護施設に暮らした幼少期を経て、服役中の母に代わり自分をひきとり、支え、育ててくれた祖母が、被爆の影響で白血病を患い、高校生の時に他界。祖母の死は、心に大きな穴があいた気持ちになる出来事だったが、祖母に恥じないように胸を張って生きていきたいと考えるようになった。祖母の入院中に支えてくれた医師や看護師の姿に感銘を受け、他者の心の痛みに寄り添うことのできる看護師になることが夢。

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