ネグレクトの定義とは?子どもに与える影響と支援する方法をご紹介

ネグレクトは、育児放棄や育児怠慢と言われる児童虐待の1つです。具体的には、食事を与えない、不潔にする、病気やケガをしても病院に連れて行かないなどがネグレクトに当たります。そして、ネグレクトの相談件数は、平成30年度で約3万件に上っており、増加の一途を辿っています。今回の記事では、ネグレクトの定義や関連法令、子どもに与える影響を解説し、逆境にある若者を応援しているビヨンドトゥモローの活動についてご紹介します。

ネグレクトとは?

ネグレクトは、英語では”neglect”となり、無視する、怠る、疎かにすると訳されます。子どもに対するネグレクトは、育児放棄育児怠慢と言われ、児童虐待の1つです。平成2年度の時点では児童虐待の相談件数は1,101件だったのに対して、平成30年度には159,850件に増加しています。また、ネグレクトだけをみても、平成21年度から平成30年度の10年間で、相談件数は2倍に増えています。

年度 ネグレクトの相談件数 虐待の相談件数合計
平成21年度 15,185 44,211
平成22年度 18,352 56,384
平成23年度 18,847 59,919
平成24年度 19,250 66,701
平成25年度 19,627 73,802
平成26年度 22,445 88,931
平成27年度 24,444 103,286
平成28年度 25,842 122,575
平成29年度 26,821 133,778
平成30年度(速報値) 29,474 159,850

(参照元: 平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)|厚生労働省,P3をもとに筆者作成)

では、この10年間で増加しているネグレクトとは? 具体的にどのような虐待なのか、またどのような法令で規制されているのか、そして子どもにどのような影響を与えるのかを解説していきます。

ネグレクトの定義

厚生労働省の児童虐待防止対策によると、ネグレクトの具体的な例を下記のように示しています。

家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

(引用元:児童虐待防止対策|厚生労働省

子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど。
例えば、
(1)家に閉じこめる(子どもの意思に反して学校等に登校させない)、
(2)重大な病気になっても病院に連れて行かない、
(3)乳幼児を家に残したまま度々外出する、
(4)乳幼児を車の中に放置するなど。
子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない(愛情遮断など)。
食事、衣服、住居などが極端に不適切で、健康状態を損なうほどの無関心・怠慢など。
例えば、
(1)適切な食事を与えない、
(2)下着など長期間ひどく不潔なままにする、
(3)極端に不潔な環境の中で生活をさせるなど。
親がパチンコに熱中している間、乳幼児を自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳幼児だけを家に残して火災で子どもが焼死したりする事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきである。
子どもを遺棄する。
祖父母、きょうだい、保護者の恋人などの同居人が身体的虐待、性的虐待又は心理的虐待に掲げる行為と同様の行為を行っているにもかかわらず、それを放置する。など

(引用元:第1章 子ども虐待の援助に関する基本事項|厚生労働省

つまり、子どもが生きていくため、成長するために最低限必要なものや環境を与えないことを指していると言えるでしょう。

ネグレクトに関連する法令

ネグレクトを含む児童虐待に関連する法令には、「児童福祉法」と「児童虐待の防止等に関する法律」があります。

児童福祉法は、児童の福祉を保障するために児童が持つべき権利や支援を定めている法律です。第一章の第一条には、児童福祉保障の原理が明記されています。

1.すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
2.すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

(引用元:児童福祉法|厚生労働省

また、児童養護施設の役割国や地方自治体の責任養育里親や子育てに関する支援事業なども定められています。

児童虐待の防止等に関する法律(通称:児童虐待防止法)は、2000年11月に施行されました。児童に対する虐待の禁止、虐待の早期発見や予防、児童虐待を発見した者の通告義務などが定められており、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つの児童虐待について初めて定義されました。

児童虐待については、こちらの記事で詳しく解説しています。

参考
児童虐待の防止等に関する法律|厚生労働省

ネグレクトが子どもに与える影響

ネグレクトが子どもに与える影響は一人ひとり異なりますし、環境的な要因で一概に言うことはできません。ここでは、ネグレクトが子どもに与える影響の例をいくつかご紹介します。

まず、食事を与えないことは、栄養失調や脱水症に繋がりますし、身体が適切に成長しないことにも繋がります。また、愛情を与えないことは、好奇心や学習意欲の低下、愛着障害や情緒が不安定になることへと繋がります。他にも、必要な教育を受けさせないことで、言語発達の遅れや学力が定着しない可能性があったり、医療ケアや親や養育者の監督が不十分だったことで、病気やケガをしたり、事故に巻き込まれる可能性も考えられます。

このようなネグレクトが原因で、平成29年度の1年間で20人の尊い命が失われています。また、大人になってからもネグレクトや虐待の経験がトラウマになり、長い間苦しむことがあります。

参考
児童虐待による死亡事例の推移(児童数)|厚生労働省,P3

ネグレクトの4つの種類

身体的ネグレクト

身体的ネグレクトは、親や養育者が生活のベースになる衣食住を適切に与えないことや、監護を行わないことで子どもが危険にさらされることを指します。

情緒的ネグレクト

情緒的ネグレクトは、親や養育者が子どもに対して愛情や関心を示さないことです。子どもが関わろうとしても無視されたり、拒絶されたりします。

医療ネグレクト

医療ネグレクトは、子どもの健康に関して医療ケアや健康ケアが必要であるにも関わらず、適切なケアがされず心身の障害に繋がるもの、繋がる可能性があるものを指します。

教育的ネグレクト

教育的ネグレクトは、子どもが学校に行くことを望んでいるにもかかわらず、学校に入学させなかったり、出席させなかったり、在宅教育を行わないことを指します。

逆境に置かれた若者を応援するビヨンドトゥモロー

ビヨンドトゥモローは、虐待やネグレクト、貧困、親との死別・離別などの困難を経験した若者たちを、返済が必要ない給付型の奨学金プログラムと人材育成プログラムを通して応援している一般財団法人です。ここでは、そんな若者を応援しているビヨンドトゥモローの活動内容と若者を支援する方法をご紹介します。

ビヨンドトゥモローの活動内容

ビヨンドトゥモローは、「逆境は優れたリーダーを創る」という理念の下に活動しており、今回の記事でご紹介したネグレクトを含む虐待を経験した若者もビヨンドトゥモローの活動に参加しています。

ビヨンドトゥモローの主な活動内容は、給付型の奨学金支援と、人間的な成長を促す人材育成プログラムの2本柱です。対象者は、児童養護施設などの社会的養護の施設や里親家庭で育ったり、親との死別や離別を経験するなどの逆境におかれた高校生・大学生です。

参加した学生は、プログラムを通して、逆境を経験した仲間と出会い、自分の人生と向き合うことで、これからの人生で他者や社会のためにできることを考え、未来のビジョンを描きながら成長していきます。ビヨンドトゥモローに出会った学生のストーリーはこちらからご覧いただけます。

詳細は、プログラム&活動でご覧いただけます。

逆境に置かれた若者を支援する方法

ビヨンドトゥモローの活動は、すべて皆様のご寄付で成り立っています。ご寄付は、下記のように様々な形でお受けしております。

  • クレジットカードによるご寄付(1回のみ)
  • クレジットカードによるご寄付(毎月継続)
  • 銀行振り込みによるご寄付
  • Tポイントカードによるご寄付(ヤフー!ネット基金)
  • 遺贈・相続によるご寄付

また、チャリティーイベント開催でのご寄付もお受けしております。そして、公益財団法人信頼資本財団を通してご寄付頂くことで、ご寄付が税制優遇の対象となります。

逆境に置かれながらも頑張る若者を支援したいと思ってくださった方は、ぜひ、こちらからご寄付をお願い致します。

まとめ

ネグレクトは、育児放棄や育児怠慢と言われる児童虐待の1つです。最悪、子どもの命が失われることもあります。ただ、親や養育者だけに責任を押し付けていいものではありません。なぜならば、親や養育者も経済的に困窮していたり、社会から孤立していたり、身体的・精神的に問題を抱えていたり、自身もネグレクトを経験していたりすることがあるからです。このようなネグレクトの実態考えると、社会を構成する私たち一人ひとりが、何ができるかを考え、実際に行動を起こすことが大切なのかもしれません。

参考

小児に対するネグレクトと虐待の概要|MSDマニュアル家庭版
子ども虐待とは|オレンジリボン運動
児童虐待防止法制度|子どもの虐待防止オレンジリボン運動
【おはなしオレンジリボン】ネグレクト「かまってくれない」|YouTube
ネグレクト(育児放棄)とは?ネグレクトの判断基準は?もし見つけたらどうする?|リタリコ発達ナビ