こどもの虐待とは?増え続ける児童虐待相談と必要とされる取り組み

子どもの虐待相談対応件数は増加し続けており、平成30年度には約16万件の相談が児童相談所に寄せられています。また、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための休校対策や外出自粛によって、子どもへの虐待を危惧する声が上がっています。今回の記事では、子どもの虐待を知り、防止・早期発見・虐待を受けた子どもの支援のためにどのような取り組みがあるかをご紹介いたします。さらに、逆境に置かれた若者を応援するビヨンドトゥモローの取り組みについてご紹介させて頂きます。

こどもの虐待とは?

子どもの虐待は、英語では”child abuse”となり、子どもの濫用(らんよう)と訳すことができます。これは、保護者や同居人による子どもへの「不適切な関わり」と解釈することができます。 児童虐待防止法制度によると、子どもの虐待は「身体的虐待」「性的虐待」「心理的虐待」「ネグレクト」の4つに分類できます。また、いかなる人も児童に対する虐待の禁止が明記されています。 しかしながら、平成30年度の厚生労働省の集計によると、児童相談所での児童虐待の相談件数は増え続けており、平成30年度の速報値は、159,850件にも及びます。そして、平成29年度に虐待によって65人の子どもが亡くなっています。 (参照元: 平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)|厚生労働省,P4をもとに筆者作成) さらに、コロナウイルスによる学校閉鎖や外出自粛が行われる中で、児童虐待が急増することが世界的に懸念されており、支援の強化が求められています。 参考 児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)|厚生労働省 児童虐待防止法制度|オレンジリボン運動

身体的虐待

身体的虐待は、保護者や同居人が子どもに下記のような暴行をすることを指します。
殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
(引用元:児童虐待の定義と現状|厚生労働省 身体的虐待は、あざや骨折、切り傷、火傷などが顕在化するため、目に見えてわかりやすいです。ただし、洋服の見えない部分にだけ暴行を受けている場合もあるため、注意が必要です。

性的虐待

性的虐待は、保護者や同居人が子どもに下記のような行為をすることを指します。
子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
(引用元:児童虐待の定義と現状|厚生労働省 性的虐待は、本人が周りの大人に告白するか、家族が気づかないと顕在化しにくいです。また、身体的虐待と絡み合って、暴力によって口止めされているケースもあります。さらに、幼い時期から性的虐待が始まる場合は、虐待を受けている子どもが性的虐待だと理解できないこともあります。

心理的虐待

厚生労働省の平成30年度の調査によると、児童相談所に児童虐待相談があった159,850件のうち、半数を超える88,389件(55.3%)が心理的虐待です。子どもの目の前で家族に暴力をふるうことも心理的虐待とされており、「子どもの心を死なせてしまうような虐待」とも言われます。
言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
(引用元:児童虐待の定義と現状|厚生労働省 心理的虐待を受けると、自分を大切にできなくなったり、他人とうまく関わることができない、乱暴になってしまうなど、子どもの成長に大きな影響を及ぼします。 参考  平成30年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)|厚生労働省,P4

ネグレクト

子どもに対するネグレクトは、保護者の育児放棄や育児怠慢を指します。
家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
(引用元:児童虐待の定義と現状|厚生労働省 乳幼児や年齢の低い子どもに起こりやすく、安全や健康へのケアがされないため、死に至るケースがあります。

こどもの虐待防止に関する取り組み

ここでは、子どもの虐待防止に関する厚生労働省の取り組みを「予防」「対応」「自立支援」の3つに分けてご紹介します。

児童虐待の発生予防

妊娠・出産・子育てに関する悩みは誰しもが持つものです。だからこそ、相談しやすい体制や子育て支援サービスを充実させることが大切です。そこで、厚生労働省では子育ての悩みがあるときの対処法や相談窓口を分かりやすく記したリーフレットを作成したり、赤ちゃんが泣きやまないときの対処法を動画で解説するなどの取り組みを行っています。 動画の中では、赤ちゃんが1日に合計5時間以上泣く場合もあることや、何をやっても泣き止まない場合もあるという知識だけでなく、どのような対応をしたらいいのかなどが解説されています。 また、子育ての悩みがある場合は、児童相談所の全国共通ダイヤル「189」(24時間・通話料無料)へ相談することが大切です。 参考 赤ちゃんが泣きやまない~泣きへの対処と理解のために~|YouTube 愛の鞭ゼロ作戦|健やか親子21ホームページ

迅速で的確な対応

児童虐待の防止等に関する法律の第6条には、児童虐待を発見したものは速やかに通告する義務があるとされています。また、児童相談所の運営指針には、虐待の通告を受けてから48時間以内に安全確認をすることが望ましいとされており、迅速な対応が求められています。 また、関係機関で情報共有し協議を行う場として、子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置が進められています。さらに、子どもや妊娠婦の福祉への支援業務を行うために、市区町村子ども家庭総合支援拠点の整備・設置も進められています。そして、子どもや家庭への適切な援助を行い、子どもの福祉を図り、権利を擁護するために児童相談所が全国に210カ所(平成29年4月1日時点)設置されています。 参考 児童相談所運営指針|第3章 相談、調査、診断、判定、援助決定業務 第3節 調査|厚生労働省 児童福祉法|電子政府の総合窓口e-Gov

虐待を受けた子どもの自立支援

子どもの自立支援のために、「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として、社会的養護が推進されています。具体的には、里親委託の推進や家庭環境を失った子どもを里親や児童養護施設職員などが養育者となり家庭に迎え入れるファミリーホーム設置・運営の促進、親子関係再構築支援等が行われています。

虐待を受けた若者を応援するプログラム

虐待を受けた子どもは、自己評価が非常に低くなり、自分を肯定できないことがあります。一方で、耐えがたい苦痛や困難な環境に置かれたことがあるからこそ、他者や社会に寄り添ったリーダーになることができる可能性も秘めていると考えられます。 ビヨンドトゥモローは、そんな逆境に置かれた若者だからこそ、リーダーになることができるという理念を持って活動する一般財団法人です。具体的には、返済が必要ない給付型の奨学金プログラムと人材育成プログラムを2本柱として活動しています。

給付型奨学金プログラム

奨学金プログラムには、高校生が対象の「エンデバー」と高卒者が対象の「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム」、大学2年生以上が対象の「ジャパン未来フェローシップ・プログラム 」の3つがあります。 エンデバーの対象者は、大学・短大・専門学校への進学を希望する児童養護施設などの社会的養護の施設および里親家庭に暮らす高校生で、進学のための受験に際し、センター試験検定料および、大学・短大・専修学校の入学検定料・受験料が支給されます。 ジャパン未来スカラーシップ・プログラムの対象者は、大学・短大・専門学校に進学する学生(親との死別・離別を経験している、児童養護施設・里親家庭・生活保護受給世帯に暮らしている)で、進学に際する奨学金(給付型・返済不要)が支給されます。 ジャパン未来フェローシップ・プログラム は、2020年からスタートした新しいプログラムです。ジャパン未来スカラーシップ・プログラムの修了者を対象として、ビヨンドトゥモローの活動の運営に携わり、実社会におけるリーダーシップ・トレーニングの機会が提供されています。 詳細は、奨学金プログラムでご覧いただけます。

人材育成プログラム

また、ビヨンドトゥモローでは、奨学金だけではなく、人材育成も行っています。例えば、2019年に行われたアジアサマー・プログラム2019では、タイ・シンガポール・インドネシアの3か国で開催され、「自立支援」という観点からアジア地域の未来のために自分たちは何ができるのかを考えました。 詳細は、人材育成プログラムご覧いただけます。

まとめ

子どもの虐待は、増え続けており、毎年50人以上の尊い命が虐待によって失われています。命を失わないまでも、虐待を受けることで身体的・精神的に大きな傷を負います。そして、虐待としつけの違いが認識できないために、無意識のうちに虐待をしてしまっているケースもあります。虐待を受けて苦しい思いをする子どもを一人でも減らすためには、まず知ることが大切です。今回の記事が、こどもの虐待予防・早期発見・自立支援の理解を深める機会になると同時に、逆境に置かれる若者を応援するビヨンドトゥモローをご支援頂けるきっかけになれば幸いです。 ご寄付・ご支援方法の詳細はこちら 参考 社会的養護|厚生労働省 子どもの虐待とは|オレンジリボン運動 児童虐待防止法制度|オレンジリボン運動 児童虐待相談の対応件数及び虐待による死亡事例件数の推移|厚生労働省 ⼦ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)の概要|厚生労働省 厚生労働省 平成30年度の児童虐待相談対応件数等を公表|オレンジリボン運動