エンデバー サマーリトリート2019開催報告

概要

2019年8月に、神戸にて「ビヨンドトゥモロー エンデバー サマーリトリート2019」を開催しました。進学率が低く、自ら主体的に自分の将来の役割を模索し、キャリアを選択するということが難しい状況にある児童養護施設居住高校生が、「ロールモデル」となる多様な活躍をする大学生と出会い、視野を広げ、自分の夢にむかって前進するきっかけを探しながら寝食を共にしました。また、大学生たちが、児童養護施設に暮らす高校生をサポートする活動を通じて、自分が他者のために何ができるかを考え、今後の自分の将来の役割を考える機会を持つことができました。

【主催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【支援】公益財団法人電通育英会、公益財団法人楽天 未来のつばさ

【後援】神戸新聞社

【協力】ホテルオークラ神戸

【開催地】兵庫県神戸市

【参加者】児童養護施設に暮らす高校生、および児童養護施設に暮らした経験を持つ大学生23名

プログラムの背景

児童養護施設に暮らす若者は、進学率が低く、高校卒業後の4年制大学進学率は1割強にとどまり、ほとんどの高卒者が、生活のための就職を余儀なくされています。それは経済的な事情も大きい一方で、児童養護施設を退所した先輩たちが、自分の夢を叶えるために進学したという事例があまりに少なく、身近なロールモデルがいないことが要因の一つであるということが、当財団のこれまでの活動を通して判明しています。そのため、児童養護施設に暮らす高校生たちが本プログラムに参加し、宿泊型研修を通して様々な領域で夢を追いかけ活躍する同世代の仲間や、同じく児童養護施設に暮らした経験を持ち、今は様々に活躍する大学生の先輩たちと出会い、人生について考える機会を得ることで、自分の将来についてより主体的に考え、キャリア選択をできる可能性が広がることを期待し、本リトリートを開催しました。

プログラムハイライト

【第1部】ワークショップの企画(8月9日~11日)

既にビヨンドトゥモローのプログラムに参加した経験を持つ高校生及び大学生たちが、初めて参加する高校生たちとの活動内容を企画・準備しました。自分たちがこれまでにビヨンドトゥモローの活動を通して得た気づきや変化を、どのように他の学生たちに伝えていくのかを考え、自分たちのロールモデルとしての役割を認識する機会を持ちました。

【第2部】キャリア・ワークショップ(8月11日~14日)

第1部の参加者と、第2部から参加する高校生たちと共に、自分は将来どんな大人になりたいかを考え、そのためにどのような進路を選びたいかについて話し合いました。また、ホテルオークラ神戸や神戸新聞社などを訪問したり、ゲストスピーカーによるセッションを通し、自分の将来のビジョンについてより現実的・具体的に考える機会を提持ちました。一連の活動を通し、自分の未来についての「アクション・プラン」を作成し、最終日に開催した提言発表会でチームごとにプレゼンテーションを行いました。

参加学生の声


“これまで、金銭面だけから進路のことを考えていたけれど、キャリアナイトで先輩たちの話をきいて、社会的養護の下にある人のための奨学金のことも知り、私も自分の行きたい大学に行っていいんだと希望を持つとともに、自分で将来を切り開く決意をした。将来、どの道を選んでも、今悩んでいる時間はきっと無駄ではなく、よく考えた進路なら後悔することはないと思うし、人生において迷うことがあっても人に頼るのではなくて自分で意思決定していくことに役立つと思う。”

山崎ありさ  鎮西学院高等学校
小学生の時に母と別れて児童養護施設に入所。寂しさや孤独の中でも、周囲の優しさに触れ「自分は一人ではない」と実感できるようになった。その経験を経て、自分と人の間に壁を作らずに、自信をもってありのままの自分を表現できるようになりたいと考え、また、自分のつらい体験を活かして、同じような境遇で苦しんでいる人の気持ちを理解し、力になれる存在になりたいと願うようになった。将来は、語学を活かす仕事に就き、国際ボランティア活動にも参加したいと考えている。現在、ESS部で活動する他、募金活動のボランティアにも参加している。


“今回のサマーリトリートで、社会の中での自分の役割についての理解が深まった。プログラムで自分の夢に言及する中で、児童養護施設で育った身としてやりたいことが自分にはあったのだと気づかされた。プログラム後も、起業家の方々を訪問したり、IT企業のインターンに参加したりと、人生の目的が明確になり、毎日に彩りが加わったと思う。将来、児童福祉の分野でのビジネスを成功させるべく、今は児童養護施設の子供たちを対象とした学習塾の立ち上げに奔走している。”

福澤孝晴  一橋大学経済学部(東京都立青山高等学校卒業)
家庭の経済的な事情で中学生の時に東南アジアに転居するも、学校に通うことのできない環境下で2年間を過ごす。進学したいという一心で、単身、日本に帰国し児童養護施設の保護を受けて、中学、高校へと進学。高校1年生の時にビヨンドトゥモローに出会い、プログラムを通して、過去にとらわれることなく、自分の進むべき道を進むという自分の人生の核を見つけたと思う。ビヨンドトゥモローでの気づきと大学で学んでいることを生かして、将来は日本と世界の貧困の連鎖を断ち切るビジネスを展開していきたい。