ビヨンドトゥモローアジアサマープログラム2014

~フィリピン台風被災地にて考える、アジアの災害リスク管理~

動画

概要

一般財団法人教育支援グローバル基金は、2014年夏に「ビヨンドトゥモロー夏季グローバル研修 アジアサマープログラム2014」を開催しました。本プログラムでは、東北出身で、東日本大震災という困難を乗り越え、広く世界に活躍するリーダーとなる志を持つ学生が選抜され、2013年11月に発生した台風30号で甚大な被害を受けたフィリピン・レイテ島を訪問しました。被災地出身の若者たちと共に、被災体験を共有し、今後のアジア地域の災害リスクの軽減のために自分たちに何ができるかを協議しました。自然災害による被害規模の大きいアジア地域において、災害を体験した者同士が当事者として連携し、アジア地域における若者の連携プラットフォームの構築を視野に、災害リスク管理のための提言を作成しました。

日時

8月12日(火) 事前研修 8月13日(水)~8月21日(木) アジアプログラム

テーマ

自然災害の被災者として、他国で起きた災害の被災者と交流することにより、共通点や相違点の理解を深め、今後のアジア地域の災害リスク管理においてどのような国際連携が可能なのかを探る。また、アジアの国々の若者が、災害リスク管理というテーマを共通項に連携し、共に活動するプラットフォームの基盤を構築する。

参加者

  • 日本人高校生・大学生:東日本大震災の時点で、岩手・宮城・福島のいずれかの県に居住していた高校生・大学生で、震災を乗り越えて、グローバルな活躍をするリーダーになることを志す高校生・大学生8名。
  • フィリピン人:フィリピンの災害地出身で、自らが主体的に災害リスク削減に関わることを志す若者3名。書類選考によって選抜。

【日本側参加者】

説明: 画面の領域 菅原 彩加(すがわら さやか)【ロバート・アラン・フェルドマン特別奨学生】 Leysin American School in Switzerland卒業 石巻市にて被災。津波によって、母、祖母、曾祖母、そして自宅を失う。震災から6か月後、中国にて開催された夏季ダボス会議に参加し、世界のリーダーに向けて自身の経験を伝えた。ビヨンドトゥモロー高校留学プログラムでスイスに留学。将来は自分が受けてきた支援の恩返しのため、自身の経験を活かし、親を失った子どもや自分が体験したような辛い思いを抱えている子どもたちのために働きたいと考えている。海外留学中も積極的にボランティアやイベントに参加。また自身でも震災の経験を社会に伝えるイベントを精力的に開催している。
高橋 奈々美(たかはし ななみ) St. George’s School in Switzerland, Year 12 ビヨンドトゥモロー高校留学プログラムでスイスに留学。震災で、いつもの日常がもろくも崩れていく瞬間を目の当たりにし、絶望で明日を生きる気力すらなくなったこともあったが、震災がそれまで気づかなかった大切なことも教えてくれたと感じている。震災後、被災地代表としてベラルーシ共和国ミンスク市で市長や現地高校生に震災について伝えるという活動を行った。今後はメディアから伝えられる情報だけではなく、震災時に受けた支援や応援に対する感謝を自分から発信したいと考えている。
藤井 理子(ふじい りこ)【佐藤輝英特別奨学生】 早稲田大学 政治経済学部(岩手県盛岡第一高等学校卒業) 震災により祖父を亡くし、思い出の土地や人とのつながりが奪われる経験をする。将来は、被災地域の住人の意見を政治に反映させることのできる政治家になることが夢。マレーシアでの留学経験から、震災から学んだことを広く発信し、地震災害について理解してもらうことが重要と考える。将来は東南アジアの人々の防災意識を高める活動に取り組み、今後起こり得る地震災害の被害を軽減させることが目標。
説明: 画面の領域 西城 国琳(さいじょう こくりん) 拓殖大学 国際学部(宮城県気仙沼高等学校卒業) 中国・大連生まれ。中学校1年生の時に来日。以来、南三陸町に住む。震災では家を失う。2013年にはTICAD Vのイベントに参加し、被災地の状況を伝えるためブースを出展し、アフリカ各国の首脳に震災支援の感謝の気持ちを伝えた。その後、ルワンダ、ガーナなど海外へも積極的に足を運び、アラビア語やスワヒリ語も学んでいる。震災での経験を通じ、アフリカなど発展途上国で教育等を通じて経済成長を促し、東北発のリーダーとして貧困削減に貢献したいと考えている。アフリカや中東の国々に興味を持つ一方で、愛する故郷である三陸の復興に貢献できるような活動にも携わりたいと思っている。

説明: 画面の領域
黒澤 永(くろさわ はるか)【船橋力特別奨学生】 獨協大学 外国語学部(福島県立会津高等学校卒業) 震災後、自身が通う高校が避難所となり、食糧分配や避難者のケアの活動に参加。食料や生活物資の分配に混乱が起きているのを目撃し、同様のことが世界の貧しい国でも起きているのでは、と考えるようになる。将来、国連職員となり、貧困地域の専門家として食糧分システムの構築に尽力するのが夢。大学では、貧困問題や格差について研究しており、今回のプログラム参加により、アジアでの諸問題や歴史を自分の目で確かめて、将来の夢に繋がるような学びにしたいと考えている。

説明: 画面の領域
菅野 英那(かんの えな)【TOMODACHI特別奨学生】 早稲田大学 商学部(福島県立須賀川桐陽高等学校卒業) 震災でまわりの家が流されるという経験に衝撃を受ける。その中で自分が生きていることには意味があると感じ、震災を経験した東北出身の人間として、事業家になり成功することが自らの使命だと考えている。以前から関心のあったIT分野で起業することを決意し、インターネットを通じで現実の世界に大きな影響を与えるサービスを作りたいと考えている。2014年2月には、米国ボストンの学生を招き、福島の被災地を案内するなど、東北と海外を結ぶ役割も担っている。
説明: 画面の領域 菊地 将大(きくち まさひろ)【Project HOPE特別奨学生】 筑波大学社会 国際学群(岩手県立高田高等学校卒業) 陸前高田市で被災し、両親を亡くす。高校では生徒会長としてリーダーシップを発揮、震災後には、第14代高校生平和大使としてスイスの国連欧州本部を訪問した。震災で世界より多くの支援が寄せられたことから国際連帯の重要性を感じ、世界に防災の必要性を発信していくことが日本の今後の使命であると考えている。将来の夢は、地方自治に携わり、被災地の復興を先導すること。特に、多くの人が職場を失い、経済的困難にあえぐ状況に強い危機感を覚え、雇用問題の解決に貢献したいと考えている。日本にとどまらない多角的な視野を持つことが重要だと考え、今回のアジアプログラムに参加。
説明: http://beyond-tomorrow.org/tohoku/img/sasakihi.jpg 佐々木瞳(ささき ひとみ) University of California, San Diego 気仙沼で被災し、家を失う。同じ人間でありながら、生まれた場所によって人生が大きく変わってしまうという地球上の不公平に衝撃を受けた中学時代の経験から、途上国の支援など、世界のために働くことが夢。多くの国々が震災時に支援してくれたように、日本と世界を結ぶ架け橋になりたいと考える。夢の実現のために、語学力とグローバルな視野を得るべく、現在米国の大学で学び、2014年8月からカリフォルニア大学サンディエゴ校に編入予定。国際関係論を学び、人身売買や貧困、飢餓といった地球規模課題の解決に貢献したいと考えている。

【フィリピン側参加者】

説明: C:\Users\YI\Desktop\20140423_192050.jpg フランシスコ・バングイス フィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校 コミュニケーション・アーツ専攻 レイテ島ダガミ出身。将来、両親を経済的に支援したい思いのもと、高校の同級生の多くが大学進学しない中、フィリピン大学に進学。そこで、2013年にフィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校ステューデント・カウンシルの会長に選出される。また同年3月には、キズナプロジェクトに参加し、フィリピンの青年大使として岩手県久地市を訪問。台風ヨランダの後、学生会会長として、被災した学生などの支援を主導する。災害を経験したことから、タクロバンの若者が街の復興に貢献できるよう促していきたいと考えている。キズナプロジェクトに参加した経験を活かして、ビヨンドトゥモローアジアプログラムに参加し、フィリピンと日本の架け橋になりたいと願っている。
説明: C:\Users\YI\Downloads\20140423_192018.jpg チャールズ・マルナラン レイテ島職員(フィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校 心理学専攻卒業) レイテ島タクロバン市出身。経済的に厳しい中、家族が支えて大学まで卒業することができたというバックグラウンドを持つ。大学在学中には、ステューデント・カウンシルの議員に選出される。また、大学内外の様々な団体にも参加。2013年には、日本の外務省が主導するJENESYS 2.0プログラムの参加者に選出され、京都を訪問。フィリピンの青年大使として活動。台風ヨランダの後故郷が荒廃した姿を見て、困窮している人を支援することで社会に貢献し、若者を支援することで復興を促進させたいと考えるようになる。ビヨンドトゥモローアジアプログラムでは、災害の辛い経験だけでなく、タクロバン市の歴史や美しさを伝えたいと考えている。
ジェッサ・ラピラップ キャピトル大学4年生(英語専攻) カガヤン・デ・オロ(ミンダナオ島)出身。数年前に巨大台風で被災した経験を持つ。国際交流基金マニラセンターが進める防災教育プログラムにも参加。翻訳の経験や、ミンダナオ島での平和構築に関する研修に参加した経験を持つ。ジャーナリズムと歌唱に強い興味w持っている。

プログラム

事前研修

事前研修 スケジュール

8月12日(火)
時間 内容
午前 オリエンテーション 事前課題の共有、スピーカーセッション準備
午後 昼食 スピーカーセッション① 「フィリピンの状況について」 スピーカーセッション② 「台風ヨランダと復興支援活動について」 映像鑑賞 「東北の状況についてのプレゼンテーション作成」 「現地に届けるもの準備」
夕食 チームチャーター作成

フィリピンでのプログラムに先立ち、本プログラムは参加者に事前研修を提供しました。事前研修で参加学生は、国連大学のフィリピン出身研究者によるフィリピンに関する講義や、台風ヨランダが発生した後、現地フィリピンのレイテ島に赴き緊急支援活動に従事した専門家による講義を通して、フィリピンや台風ヨランダの被害にについて理解を深めました。また、フィリピンで何を達成したいかを考えると共に、東北被災地からのアンバサダー(大使)として、フィリピンで何を伝えるべきか討議し、英語でのプレゼンテーションの準備を行いました。

専門家プロフィール

スピーカーセッション① 「フィリピンの状況について」
フィリピン出身の講師をお招きし、現在のフィリピンをとりまく社会経済の状況についてレクチャーを受け、貧困問題や地域格差など、日本とは異なる社会問題について学びました。 ジョハンナ・ディワ・アカリア 国連大学 サステイナビリティと平和研究所(UNU-ISP)プログラム・アソシエイト

ジョハンナ・ディワ・アカリアはUNU-ISPの大学院にプログラム・アソシエイトとして参加。博士彼女が教育行政と人間科学の修士課程を修了した広島大学において、比較国際教育学のPhD candidateでもある。同大学のEdD. Programmeにおいて専門的なトレーニングを受けた。フィリピン大学卒、哲学科での修士課程を修了。日本の国際大学において、国際関係学も学んだ。

スピーカーセッション② 「台風ヨランダについて」
台風ヨランダ発生後の緊急支援に関わった専門家から、現地の状況や、支援活動における課題やニーズについて伺い、これから訪問するフィリピン被災地の状況について考えを整理しました。 乗竹 亮治 Project HOPE コンサルタント

特定非営利活動法人 日本医療政策機構ディレクターを経て、米国の国際医療支援団体Project HOPEコンサルタント。日本での震災復興支援も担当し、頻繁に被災地に入り、海外組織と現地のコーディネーションを務めてきた。現在の主な活動地域は、台風被害のあったフィリピン。オクラホマ州立セントラル大学を経て、慶應義塾大学総合政策学部卒業。オランダ アムステルダム大学医療人類学修士。趣味は俳句、俳号は涼路。日本医療政策機構フェロー。

アジアプログラム

アジアサマープログラム スケジュール

都市 内容
8月12日(火) 東京 事前研修・オリエンテーション (東京泊)
8月13日(水) 東京→マニラ 到着・フィリピン人学生と合流・オリエンテーション/アイスブレーキング (マニラ泊)
8月14日(木) マニラ 日本大使館・JICA・Center for Disaster Preparedness訪問 (マニラ泊)
8月15日(金) マニラ→タクロバン (午後)到着/被災状況視察 (夜)仮説の策定とリサーチの設計 (タクロバン泊)
8月16日(土) タクロバン Operation Compassion訪問・仮設住宅建設事業視察 地域コミュニティとの交流・小学校訪問(Union Elementary School) (タクロバン泊)
8月17日(日) タクロバン (午前)仮設住宅ボランティア活動 (午後)フィリピン大学学生との交流 (夜)現地関係者との夕食会 (タクロバン泊)
8月18日(月) タクロバン→セブ島 到着 (終日)ビーチ・アクティビティ/リフレクション/ 提言作成 (セブ島泊)
8月19日(火) セブ島 (終日)カオハガン島ツアー (セブ島泊)
8月20日(水) セブ島→マニラ 閉会式/提言発表会・レセプション (マニラ泊)
8月21日(木) 東京へ帰国

アジアプログラムは、以下のステップで参加学生たちに提言を作成する過程を提供しました。

災害リスク管理のフレームワークの提供(マニラ)

フィリピンで開発援助や災害援助の活動を展開する独立行政法人国際協力機構への訪問や、災害リスク管理の専門組織Center for Disaster Preparednessなどを訪問。参加者は、フィリピンの社会情勢についての最新の情報を得ると共に、フィリピンにおける災害リスク管理やレイテ島において台風30号による被害に対してどのように復旧・復興活動が行われているか学びました。

自己紹介・オリエンテーション
東日本大震災についてのプレゼンテーション
JICA専門家によるレクチャー
現地NGOによるレクチャー

台風ヨランダ被災地でのフィールドワーク

2013年11月に台風30号(現地では、台風ヨランダ)の被害に遭ったレイテ島の各地を訪問。仮設住宅や沿岸部の建設禁止区域を訪問し、現地の住民にインタビューをするなどのフィールドワークを実施。また、現地では住居の建築プロジェクトのボランティア活動に参加したり、現地の若者との交流の機会を持つなど、災害の傷跡を肌で感じると共に、現地の人々と友好関係を構築しました。

仮設住宅支援を行うNGOからの説明
仮設住宅の住民へのヒアリング
現地小学校訪問・災害についてのプレゼンテーション
現地コミュニティでのボランティアワーク

フレームワークとフィールドワークの学びの整理(セブ島)

マニラで災害リスク管理を考える上でのフレームワークを体得し、レイテ島の台風被災地でフィールドワークを通し現地の声について理解を深めた参加者たちは、セブ島に移り、2都市での学びを整理しました。現地では何が課題で、自分たちには何ができるか、そして、アジアという地域において自然災害の被災地出身の自分たちが果たすべき役割は何かを考える機会を提供しました。参加者は、ディスカッション等通して学びを整理し、提言発表の準備に臨みました。また、ビーチ・アクティビティやリフレクションの時間を通し、日比両国の参加学生たちが言葉の壁を越えて友情を築く機会となりました。
リフレクション
提言作成のためのチームディスカッション

提言発表(マニラ)

参加者は、3都市での学びを、ゲストの前で発表しました。提言発表会には、フィリピンにおいて政府、ビジネス、NGO、メディアなど様々な分野で活躍する各界のリーダーが出席しました。約1週間、寝食を共にした日本人の学生とフィリピンの若者は、共に提言を発表し、災害リスク管理におけるアジアの若者によるプラットフォームの基盤構築の第一歩を示しました。
閉会式/提言発表①
閉会式/提言発表②
閉会式/提言発表③
閉会式/提言発表④

支援企業・団体

国際交流基金マニラ日本文化センター