学生インタビュー:地元から世界に広がった視野!ビヨンドトゥモローは良い学びがある環境
ビヨンドトゥモローは、ちょっと背伸びしたことにいつもチャレンジできる環境と話す松藤さん。母子家庭で育ち、経済的に厳しい状況を経験してきた彼女が、ビヨンドトゥモローのプログラムに参加して得た学びとは?そして、人生の一部であるというビヨンドトゥモローでの活動とは?
自分が頑張れば学ぶ機会がある!だから大学進学を決めた。
これまでの生い立ちを簡単に教えて頂けますか?
両親が小学校2年生の頃に離婚して、それから母子家庭で育ってきました。小中学生時代は、人前で発表ができるようなタイプではなく、むしろ引っ込み思案でした。
母子家庭であることは友達に話していましたが、経済的に生活が厳しいことを話すことはできませんでした。例えば、母親が家にいないときに、水道や電気が止まっちゃってどうしていいのかわからないときも、恥ずかしくて誰にも相談できずにいました。
中学生の頃は、料金滞納で携帯が止まっちゃって…でも、友達には「携帯なくしちゃって」とか「充電してなくてごめんね」って言っていました。「メール入れたのに何で見てくれないの? 」って友達に言われたときも、本当のことは言えずにいました。そんな風に、嘘ついちゃうのが心苦しかったですね。
なるほど。高校に進学してからは何か変わりましたか?
経済的に厳しい状況は変わりませんでしたが、生徒会に入りました。私の通っていた学校の生徒会は、とても活動的なところで、活動の1つに「ラオスに学校を建てる」という取り組みがありました。
具体的な活動内容は、校内に模擬株式会社を設立し、資本金を集め、その資本金を持ちラオスに行って、ラオスで買った民芸品や布製品を、地域の商店街で販売し、その利益でラオスに学校を建てるというものです。この生徒会での活動を通して、ラオスに行ったことがそれから先の進路を決めるきっかけになったと思います。
ラオスに行くまでの私は、お菓子を作るのが好きだし、地元の高知県でパティシエになろうかなと考えていました。でも、ラオスで学校に通えない子たちに出会って、この子たちのためにもっとできることがあるんじゃないかって思ったんです。
私は、自分が頑張れば大学に行ける環境があります。だとしたら、学ぶ機会を捨てて生きていくよりも、学ぶ機会を活かしたいと思いました。そして、ラオスで出会った子たちのためにできることがあるなら、ちょっとでもやりたいと思って大学に進学すると決めました。
ビヨンドトゥモローのことはいつ知りましたか?
ビヨンド(ビヨンドトゥモローのこと)を教えてくれたのは、高校の教頭先生でした。「こんなチラシが入ってるけど、行ってみないか? 」と言ってチラシを渡してくれました。今振り返ると、生徒会の活動を通して得られたグローバルな視野をさらに広げてほしいという思いがあったんだと思います。
高校でラオスに行ったことが大学に進学するきっかけになり、ビヨンドに出会ったことで視野がより広がっていきました。高校から今に至るまで、視点の広がり方はどんどん加速しています。
ビヨンドと出会って自分の生い立ちに初めて向き合った。
ビヨンドトゥモローの第一印象を教えて頂けますか?
私の周りにビヨンドを知っている人がいなかったので、最初はすごく不安だった気がします。「本当に行っちゃって大丈夫なのかな? 」と思っていました…。
それと同時に、単純に楽しそうだと思いました。もっと広い世界を見てみたいと思う反面、目の前の家賃や携帯代を払わなきゃという家庭の経済状況があったので、プログラムでアメリカに行けるのも魅力的でした。
ビヨンドトゥモローに参加して、どのようなことを感じましたか?
初めて参加したプログラムでは、親を亡くした人や ルーツが海外にありマイノリティとして生きてきた人など、逆境を経験をしてきた人たちと出会いました。そんな逆境を経験しても、自分の生い立ちに向き合っている姿を見て、素直にすごいなと思いました。
これまでの私は、学校の友達に、母子家庭っていうことは言えても、どういう家庭で育っていたかは言えませんでした。でも、ビヨンドの最初のプログラムで初めて、自分のこれまでのバックグラウンドを話すことができました。これまで割り切って生きてきたはずなのに、自分のバックグラウンドを話していると涙が出てきちゃって……。自分の素直な感情に蓋をして、触らないようにしていたのかもしれません。自分の気持ちに素直になるという意味で、自分の生い立ちに向き合えたことがターニングポイントだったかなって思いますね。
それと、プログラムに卒業生が駆けつけてくれて、自分の体験を共有してくれました。卒業生の「ビヨンドと出会って変わった」という話を聞いて、ここにいることで変わることができるんだなって思いました。ビヨンドに出会って、夢に向かって走っている卒業生の姿が輝いていて、自分もこういう風になりたいなって思ったのをよく覚えてます。
ビヨンドは1人ではできないことにチャレンジできる環境。
ビヨンドのプログラムを通して、松藤さんの中で変化はありましたか?
社会が近くなったなと思います。ビヨンドのプログラムに参加することで、各界の著名人など、今まではテレビ画面の向こうで見ていた方と実際にお会いする機会があって、1つ1つのニュースを目に留めるようになりました。日本の社会がグッと近くなった気がしたっていうのは、大きな変化かなって思います。
参加されたプログラムの中でも、最も印象深いものを教えて頂けますか?
大学1年生の夏に韓国研修に参加させてもらいました。プログラムの内容は、韓国の学生と英語でコミュニケーションをとって提言を作成するというものでした。この活動自体も大きな経験でしたが、それ以上に、自分の英語のできなさに衝撃を受けました。「このままじゃダメだな」と思って、頑張って貯金して、大学1年生の終わりに2カ月間カナダに語学留学をしました。当時の自分にとって、2カ月語学留学に行ったっていうこと自体がすごい自信に繋がりました。
ビヨンドの1つ1つのプログラムって、参加したこと自体が自信に繋がっているんだと思います。これまでは色々な経験をする機会がなかった中で、韓国に行ったり、カナダに行ったりすることができたんです。それは、「自分はこんな経験をしてきた! 」っていう自信を持つことに繋がります。その自信を持つことで次の一歩を踏み出せることってすごくあると思うんです。
ビヨンドのプログラムがきっかけで次の一歩を踏み出せたんですね!他にも一歩を踏み出したような経験はありますか?
国際交流基金の日本語パートナーズに応募して、大学4年生の時に休学してインドネシアに7カ月滞在しました。現地の高校に派遣してもらい日本語を教えていました。生徒は全員現地の子だし、日本語に興味のない子もたくさんいます。授業中は、めちゃくちゃ寝られるし、めちゃくちゃゲームされるし、くじけそうになったことは何度もあります。(笑)
でも、この経験は、今まで生きてきた中で一番良かったなって思います。日本語を教えているインドネシア人の先生と協働して、毎日の授業を運営していく必要がありました。お互いに文化が違う中で、グローバルな視点を持って、譲り合いながら取り組むことができたなって思います。
あと、ビヨンドのインターンシップ・サポートプログラムに参加させてもらうことがありました。受け入れてくださった企業は、学生インターンを募集していませんでしたが、ビヨンドの繋がりがあったからこそインターンをすることができました。私にとって、社会と接点を持てるすごく良い経験だったなって思いますし、自信にも繋がりました。
もしビヨンドにいなかったら、できることの中からやることを考えちゃうと思います。でも、ビヨンドにいるとちょっと背伸びができちゃうんです。インドネシアに行くことやインターンに参加することもそうでした。できなさそうだなってことに、いつもチャレンジできる環境っていうのが、私にとってビヨンドなんですよね。だから、ビヨンドにいると必ず良い学びがあると思えるんです。ビヨンドにいることができて、本当に良かったなって思っています。
ビヨンドという学びの場を活かしてもっともっと成長したい!
これからどのように成長していきたいですか?
う~ん…言語化するのが難しいんですけど、どんどんキャリアを積んでいきたいなって思いますね。ビヨンドは、「こういう人になりたい! 」という人に会える場所なので、その人たちの良いところを吸収していきたいなって。
例えば、ビヨンドのプログラムに参加して児童養護施設の友達と出会ったから児童養護施設でバイトを始めた人がいたり、子ども食堂のボランティアに行ってみた人がいたりします。学びの繋げ方がすごい勉強になるし、自分にはない考え方だったり、行動だったりするので、憧れることが良くあります。
ビヨンドの参加者から刺激を受けているんですね!最後に、ジャパン未来フェローシップ・プログラムでの活動を教えて頂けますか?
ジャパン未来フェローシップ・プログラムは、スカラーシップ・プログラムの修了者がビヨンドトゥモローの活動の運営に携わり、社会とのつながりの中で、課題をみつけ、解決策を模索し、実践していくという、実社会におけるリーダーシップ・トレーニングです。
そもそも参加しようと思った理由は、ビヨンドの学びの場所にいたいって思ったからです。いままで4年間、ビヨンドでいろんな人たちと出会って、いろんな刺激を受けて、この場所が自分にとって良い場所だったとすごく感じています。なので、そこに参加できるチャンスがあるのに、応募用紙を書かないというのが自分の中ではありえないことでした。
私は、プロモーション・マーケティングのチームで活動しています。今考えていることは、ビヨンドに寄付してくださる方と学生を繋げるために何か取り組みができないかということです。
例えば、寄付してくださっている方から「逆境を経験した学生たちが今後社会のためになる活動ができますように」というメッセージを頂くことがあります。ビヨンドに参加する中で、寄付してくださっている方がいることを頭では理解していても、寄付してくださっている方のメッセージや想いまでは知りませんでした。それを知ってから、私たちっていろんな人たちに支えられてると実感するようになりました。
だから、ビヨンドに参加している学生に、寄付してくださる方の想いをちゃんと伝えられる人になりたいなって思って活動しています。そうすることで、学生は勇気をもらえるし、繋がりを感じることができると思うんです! そしてそれが、ビヨンドの活動を広げることに繋がっていったらなと思っています。