一般財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

サマー・キャンプ2022開催報告

~グローバルシティズンとしてのダイバーシティについて考える~

大学生向け夏のプログラムを開催しました

概要

ビヨンドトゥモローの奨学金プログラム「ジャパン未来スカラーシップ・プログラム」に参加する、大学1年生のを対象とした「スカラー サマー・キャンプ2022」を8月11日〜14日に開催しました。

3泊4日の宿泊型で実施された今回の対面プログラムでは、「グローバルシチズンとしてのダイバーシティ」を実現するための提言の作成を主軸とし、都内の大使館や難民の方を支援する団体の方々から伺った話を元に留学生やチームメンバーとのディスカッションを重ね、最終日には「グローバルシティズンをめざす私達が、日本における共生社会の実現のためにできること」をテーマに提言発表しました。

【主  催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【開催地】東京都

【参加者】ジャパン未来スカラーシップ・プログラム参加学生8名

 

スケジュール

1日目:集合、オリエンテーション、大使館訪問、体験共有

2日目:スピーカーセッション、ゲストレクチャー、チームディスカッション、

    村瀬二郎記念奨学事業 日米オンライン交流

3日目:留学生交流会、ゲストレクチャー、中間発表会

4日目:提言発表会、リフレクション、解散

目的

「サマー・キャンプ2022」のプログラムでは、今年度の海外研修が新型コロナウイルスの影響により延期となったため、将来を担う若者に、日本にいながらにして世界の人々と交流し、視野を広げる体験を提供すべく企画されました。

日本には移民、難民、留学生など、世界中から教育や労働を目的に来日された方がいます。様々なバックグラウンドを持つ人々と出会い、彼らを取り巻く課題を考え、日本社会の現状を俯瞰してみることで、自分達に何ができるかを考え、また、グローバルシチズンとしての意識を高めていきます。

 

サマー・キャンプのテーマ

「グローバルシティズンとしてのダイバーシティ」

今回のプログラムでは、様々なバックグラウンドを持つ人々により構成されるダイバーシティや共生社会についての理解を深めます。この日本においても、仕事を求めて来日した方、祖国を追われて日本にたどり着いた方、勉強するために来日した留学生など、様々な国、文化、宗教などのバックグラウンドを持つ人々が生活しています。彼らにとって日本は居心地の良い、共生社会が実現した国なのでしょうか?理想の共生社会とはどのような状態でしょうか?それを実現するために、大学生である自分たちに何ができるのかを考えることが今回のプログラムのテーマです。困難な経験をしたからこそできる、当事者としての視点を盛り込んだ日本社会の未来への提言を作成し、最終日の発表会で発表します。

 

プログラムハイライト  1日目:大使館訪問

世界の多様性を実感すべく、プログラム初日は都内に多数存在する大使館のうち、ルーマニア大使館およびスウェーデン大使館を訪れました。各国の歴史や文化に加え、多様性に向けた取り組みや、日本との違いなどについてレクチャーを頂き、他国からみた日本社会の在り方について考えました。

プログラムハイライト  2日目:難民についての学び

2日目はUNHCR駐日事務所や難民支援に取り組まれる社会福祉法人「さぽうと21」にご協力いただき、世界の難民や日本における課題を学びました。また、実際に日本に移民や難民として来られた方々にお会いし、日本での生活や苦労を感じる部分など、自らの体験をもとにしたお話を伺いました。

プログラムハイライト  2日目:フィールドワーク

高田馬場のミャンマーコミュニティでレストランを経営されているお店を訪れ、ミャンマー料理をいただくとともに、難民として日本に来られた店主チョーチョーソーさんのストーリーを伺いました。「ミャンマーに残された人を忘れたことはない」、そして「頑張りたいと思ったらそれができる自由が日本にはある」といった言葉が印象的でした。また、その後に代々木上原のモスク「東京ジャーミイ」を訪れ、モスクの建築美に圧倒されるとともに、イスラム文化の世界への貢献、日本におけるイスラム文化の誤解など、職員の下山茂さんに説明していただきました。

 

 

村瀬二郎記念奨学事業

8 月 12 日夜のプログラムでは、米国とオンラインでの交流を行いました。2012 年よりビヨンドトゥモロ ーで毎年実施してきた米国サマー・プログラムは、2015 年より村瀬二郎記念奨学事業として開催されています。 新型コロナウイルスの影響により、渡米が難しい時期にあっても、米国との交流を深めてもらいたいという、村瀬二郎氏を父に持ち、ビヨンドトゥモローの理事を務める村瀬悟氏の想いにより、今回のプログラムが実現しました。

オンラインプログラムには、日本国際基督教大学財団(JICUF) のPresident & CEOであるポール・へスティングス(Paul Hastings)氏にご参加いただき、幼少期に日本で過ごされた際の経験や、米国におけるダイバーシティの歴史、現状などご紹介いただきました。ジャパン未来スカラーシップ・プログラムの学生は自己紹介を行ったり、ダイバーシティに関する意見や質問を投げかけ、充実した交流となりました。

 

 

 

プログラムハイライト  3日目:留学生との交流

プログラム3日目は、留学生として来日している、海外をバックグラウンドに持つ学生に参加していただき、日本との文化の違い、日本での生活で感じたことなどを話し合いました。英語での交流で、普段あまり英語を話す機会が少ない学生にとっては、頭をフル回転させての交流となりました。日本の好きなところ、困ったところなど、日ごろ自分では当たり前と思っていることが、海外の人にとっては当たり前ではないことなどを知るきっかけとなりました。

 

 

プログラムハイライト  3日目:スピーカーセッション

 

早稲田大学スチューデントダイバーシティセンター / ICC(異文化交流センター)より、アダムス・マーシャル氏をお招きし、米国におけるダイバーシティの歴史や、多様性を尊重した社会の在り方などをレクチャーしていただきました。日本在住歴20年以上になるマーシャル氏に、ご自身の経験などもお聞きしながら、日本における共生社会の在り方をディスカッションしました。

プログラムハイライト  4日目:提言発表会

最終日には、BofA 証券株式会社 取締役副社長 林 礼子様、東京海上ホールディングス株式会社 グループダイバーシティ&インクルージョン総括 鍋嶋 美佳様、そしてビヨンドトゥモロー代表理事橋本大二郎を迎え、「グローバルシティズンを目指す私達が、日本における共生社会の実現のためにできること」についての提言発表会を実施しました。2班に分かれた参加学生が、この4日間での体験や学びを踏まえ、様々なバックグラウンドを持つ人々が日本で安心して暮らしていくために、自分達ができることを考え、発表しました。 マイノリティであることやそれを受け入れる姿勢をキーホルダーで視覚化する「サインプロジェクト」というアイディアや、 様々な文化や価値観に触れるためのサブスクリプションサービス「多文化ガチャ」というアイディアが発表され、学生ならではのユニークな発想からのアクションプランを提示してくれました。

参加学生の声

“私は今回のプログラムを通し、リーダーを経験することができたので大学のグループワーク等で活かしたいです。皆を引っ張るリーダーでなくてもメンバー1人1人に寄り添って、誰もが意見を出すことの出来る雰囲気作りに全うすることも1つのリーダーの形だと気付けました。” 

“マイノリティなど、社会の中で苦労をすることが多い人達に対し、偏った考え方は持たないように接することで、共生社会を作るための第一歩になることができ、自分の人間性もより豊かにできると思う。” 

“私は将来国際NGOで働きたい。それは、共生社会をつくるためだ。今回考えた共生社会の定義は、今後活動する際何を自分が目指したいのか、目的は何かを立ち返る原点になると思った。難民についてやUNHCRの知識は元からあったが、社会の仕組みやグローバルシティズンについての知識が足りず、議論が表面をずーと撫でているようでもどかしかったため、大学の授業への意欲が高まった 。

“共⽣社会を実現するために今の私たちができることについて、私たちの班では学び続けることという⽅法が出ました。私はその通りだと思っていて、学び続けることが知識や経験、想像⼒を養い、誰かを思ったり、偏⾒がなくなったりするのだと思います。実際に、ムスリムの⽅や難⺠の⽅、またそれを⽀援している団体の⽅々からお話を聞くことで、⾃分⾃⾝の中にあった間違った思い込みや偏⾒の部分に気づくことができ、知識や経験をアップデートすることができました。ファーストインプレッションという⾔葉があるように、物事には必ず思い込みが存在します。それを知識や経験でアップデートしていくことが⼤事だと、今回のプログラムで強く感じたので、今後の⾃分の⼈⽣に「学び続けること」を活かしていきたいと思います。

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