一般財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

パヤオ大学オンライン交流会開催報告

~会えなくても、交流できる!~  学生主体で実現した、タイと日本の文化交流

概要

ジャパン未来スカラーシップは、例年であれば、夏の間、アメリカやアジアに行き、
直接現地での体験や交流を行うサマープログラムが目玉の一つですが、2020年度は
コロナの影響により、様々な対面でのプログラムが中止となりました。

2019年アジアサマープログラム

そのような状況の中、世界と交流する機会として、例年サマープログラムで訪れる
タイのパヤオ大学日本語学科の学生との交流会が企画されました。
交流会では、半年間、ジャパン未来スカラーシップのメンバーたちが、取り組んできたSDGsの2つのテーマ「1 貧困をなくそう」「3 すべての人に健康と福祉を」について、タイの現状を知り、考えを深めることを目標にしました。

【主  催】一般財団法人教育支援グローバル基金

【協  力】パヤオ大学教養学部日本語科

【開催地】オンライン

【参加者】ジャパン未来スカラーシップ2020参加学生10

             パヤオ大学教養学部日本語科生8名 

プログラム・ハイライト


日本人のメンバー同士も直接会ったことがない中で、タイの学生へのレターづくりから取り組みがスタートしました。そもそも、タイの学生には、どんな言語でレターを書くべきなのか?ということから始まり、短い時間の中でどうお互いのことを知り合い議論をするかなどを考えてレターを作成しました。
実際の交流会では、まず、自己紹介を全員で行い、日本の各地に住んでいるジャパン未来スカラーシップのメンバーの地元を紹介なども交えて行われました。タイと日本のお互いの知らない文化を知るとともに、日本の漫画がタイでも読まれていて、同じ漫画を好きだという共通点を見つけた学生もいました。

 

意見交流は、SDGsのテーマごとに分かれて話し合いを行いました。非常に安価に医療を受けられるタイの医療制度や、貧しい人に対する奨学金制度という仕組みを知るだけでなく、病院が地方ではなかなかない現実や、コロナ対策でも情報が入ってくる都市部の人ばかりが制度を利用して、情報のない本当に困っている人にいきわたらない現状を知りました
また、タイの貧しい人に対する奨学金を受けることで、周りからの偏見を受けた精神的負担について生活保護を受けているジャパン未来スカラーシップのメンバーにも、共感するポイントがあり、困っている人だけでなく社会全体が様々な制度について知らないといけないといった意見もありました。
会の最後には、お互いの国に美味しいものをぜひ食べたいといった話や、来年はぜひタイに行って交流したいといった感想が聞かれました。様々な制限がある中でも、学生達には大きな刺激のある2時間となりました。

 

参加学生の声

BEYOND Tomorrow 参加学生 

 

町井康子(仮名)/活水女子大学 看護学部看護学科 1年

私の班は、SDGsの「すべての人に健康と福祉を」についてディスカッションしました。初めに、アイスブレイクで日本とタイの文化を紹介し合いました。私はタイ人にとってトムヤムクンは日本人にとっての味噌汁のように毎日飲むものだと思っていましたが、1回も飲んだことの無い学生や年に1回ぐらいしか飲まない学生が多いことにとても驚きました。

私は、ディスカッションを行う前まで、タイは発展途上国であるため、医療制度は日本よりも遅れていると考えていました。しかし、実際にパヤオ大学の学生に話を聞くと、タイには30バーツ(日本円で約103)で医療を受けられる制度がありました。このように実際に話を聞かないと気づけないことあり、実際に話を聞くことの重要性に気付かされました。

 9月から「パヤオ大学との交流会を成功させる」というひとつの目標に向かって、スカラーの仲間と何度も話し合いを重ね、準備を行ってきたので、無事、交流会を終えることができ、達成感を感じています。しかし、改善点や反省点も多く見つかったので、しっかり次に繋げていきたいと思います。

永沼圭(仮名)/ロンドン大学

Natural&Mathmatical Sciences 1年

概してこの交流会は意義ある体験でした。私の班は「貧困緩和」を中心に、タイ、パヤオ大学の学生達と対話をし、とりわけ、私が興味を持って質問したのは、貧困家庭に対する支援制度へのアクセシビリティーについてでした。彼らによると、貧困事実が周囲の目に触れることを恐れ、支援制度を利用しにくい現状にあるとのことでした。日本においても、制度利用者に対する偏見が根強いことを鑑み、経済的ハンデ=負い目という認識を変えていく必要性を感じました。当然、周囲の認識もさることながら、彼らの中の負い目を払拭する上では、お金とは別の自分の価値を発見することが大切だろうとも考えました。この交流会で芽生えた意見は、それ以降も別の場でも議論を続けています。

BENYAKORN PATUMPEE (プレーオ)/

パヤオ大学教養学部日本語専攻4年

BEYOND Tomorrowの皆さんとディスカッションできて、私にとって素晴らしい経験になりました。本当にありがとうございました。私は初めて日本人の大学生とディスカッションに参加しましたが、とても緊張していました!難しい、できないのかもと思いました。ところが、とても楽しくて、みんなさんが簡単な言葉を使ってくれてとても優しくしてくれました。日本のいろいろの私が知らないことを教えてくれました。それに、日本語を使う勇気をもらいました。とても感謝です。出席して本当によかったです。機会があれば、またお話ししたいです!

Khommapat Prawang(コンマパット先生)/

パヤオ大学教養学部日本語科 講師

 新型コロナウイルスの影響で、今回の活動がオンラインディスカッションという形になりましたが、学生同士の意見交換ができてとても意義のある時間でした。日本語をタイの田舎で習っている学生たちに、日本語を使うチャンスを提供してくれてありがとうございました。また、学生たちが交流を通して自分たちの未来・自分たちの国のために考えることができたのではないかと思います。私も今の学生たちが思っていること、考えていることが聞けて勉強になりました。世界は広いです。色んな人がいて、色んなことが起きています。視野を広く、未来をどうするかをゆっくりじっくり考えていきましょう。少しでもその手伝いができればうれしく思います。

 

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