一般財団法人教育支援グローバル基金|ビヨンドトゥモロー

ビヨンドトゥモロー 国連防災世界会議 パブリックフォーラム

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概要

2015年3月、宮城県・仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」の一環として開催されたパブリックフォーラムにおいて、特別セッションを開催しました。東日本大震災により被災し、家族を亡くしたり家を失った学生たちが、震災の体験を伝え、防災の重要性について語るだけでなく、フィリピンの台風30号(台風ヨランダ)により被災した若者を招聘し、共に、アジアの防災にむけた取り組みの重要性を発信しました。自然災害によるダメージの当事者としてその体験を語り、また、どのような取り組みが今後求められるのかを若者の視点から提言にまとめ、今後、アジアという地域において若い世代が連携することの重要性を伝える機会となりました。

目的

  • 日本大震災及び台風ヨランダの被災若者たちが被災体験を若者の視点から語ることで、概念的な議論を超えた生の声が参加者に認識され、防災への取り組みの重要性の認識を広げる。
  • 防災教育の現場においてより具体性や現実性のある学びを実現するために、様々なステークホルダーの連携が求められていることを被災者当事者の視点から伝え、アジアの若者たちが連携する機運を高める。

日程・開催地

3月12日(木)~16日(月)

  • 岩手県陸前高田市
  • 宮城県気仙沼市・南三陸町・多賀城市・仙台市

参加者

学生運営メンバー
日本人4名とフィリピン人3名から成る学生運営メンバーたちは、ビヨンドトゥモロー 夏季グローバル研修2014・アジアプログラム(リンク)に参加し、台風ヨランダによって被災したフィリピン・レイテ島にて フィリピン人学生と共にフィールドワークを行い、今後、アジアの防災のために求められる施策について提言を作成した経験を持っています。

菊地 将大(きくち まさひろ)【Project HOPE特別奨学生】
筑波大学 社会・国際学群(岩手県立高田高等学校卒業)

陸前高田市で被災し、両親を亡くす。高校では生徒会長としてリーダーシップを発揮、震災後には、第14代高校生平和大使としてスイスの国連欧州本部を訪問した。震災で世界より多くの支援が寄せられたことから国際連帯の重要性を感じ、世界に防災の必要性を発信していくことが日本の今後の使命であると考えている。将来の夢は、地方自治に携わり、被災地の復興を先導すること。特に、多くの人が職場を失い、経済的困難にあえぐ状況に強い危機感を覚え、雇用問題の解決に貢献したいと考えている。日本にとどまらない多角的な視野を持つことが重要だと考えている。

黒澤 永(くろさわ はるか)【船橋力特別奨学生】
獨協大学 外国語学部(福島県立会津高等学校卒業)

震災後、自身が通う高校が避難所となり、食糧分配や避難者のケアの活動に参加。食料や生活物資の分配に混乱が起きているのを目撃し、同様のことが世界の貧しい国でも起きているのでは、と考えるようになる。将来、国連職員となり、貧困地域の専門家として食糧分システムの構築に尽力するのが夢。大学では、貧困問題や格差について学んでおり、アジアでの諸問題や歴史を自分の目で確かめて、将来の夢に繋がるような学びにしたいと考えている。

西城 国琳(さいじょう こくりん)
拓殖大学 国際学部(宮城県気仙沼高等学校卒業)

中国・大連生まれ。中学校1年生の時に来日。以来、南三陸町に住む。震災で家を失う。2013年にはTICAD Vのイベントに参加し、被災地の状況を伝えるためブースを出展し、アフリカ各国の首脳に震災支援の感謝の気持ちを伝えた。その後、ルワンダ、ガーナなど海外へも積極的に足を運び、アラビア語やスワヒリ語も学んでいる。震災での経験を通じ、アフリカなど発展途上国で教育等を通じて経済成長を促し、東北発のリーダーとして貧困削減に貢献したいと考えている。アフリカや中東の国々に興味を持つ一方で、愛する故郷である三陸の復興に貢献できるような活動にも携わりたいと思っている。

藤井 理子(ふじい りこ)【佐藤輝英特別奨学生】
早稲田大学 政治経済学部(岩手県盛岡第一高等学校卒業)

震災により祖父を亡くし、思い出の土地や人とのつながりが奪われる経験をする。将来は、被災地域の住人の意見を政治に反映させることのできる政治家になることが夢。マレーシアでの留学経験から、震災から学んだことを広く発信し、地震災害について理解してもらうことが重要と考える。将来は東南アジアの人々の防災意識を高める活動に取り組み、今後起こり得る地震災害の被害を軽減させることが目標。

フランシスコ・バングイス
ICAN Foundationプロジェクトオフィサー(フィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校 コミュニケーション・アーツ専攻卒業)

レイテ島ダガミ出身。将来、両親を経済的に支援したい思いのもと、高校の同級生の多くが大学進学しない中、フィリピン大学に進学。そこで、2013年にフィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校ステューデント・カウンシルの会長に選出される。また同年3月には、キズナプロジェクトに参加し、フィリピンの青年大使として岩手県久地市を訪問。台風ヨランダの後、学生会会長として、被災した学生などの支援を主導する。災害を経験したことから、タクロバンの若者が街の復興に貢献できるよう促していきたいと考えている。キズナプロジェクトに参加した経験を活かして、ビヨンドトゥモローの活動に参加し、フィリピンと日本の架け橋になりたいと願っている。

チャールズ・マルナラン
レイテ島職員(フィリピン大学ヴィサヤス・タクロバン校 心理学専攻卒業)

レイテ島タクロバン市出身。経済的に厳しい中、家族が支えて大学まで卒業することができたというバックグラウンドを持つ。大学在学中には、ステューデント・カウンシルの議員に選出される。また、大学内外の様々な団体にも参加。2013年には、日本の外務省が主導するJENESYS 2.0プログラムの参加者に選出され、京都を訪問。フィリピンの青年大使として活動。台風ヨランダの後故郷が荒廃した姿を見て、困窮している人を支援することで社会に貢献し、若者を支援することで復興を促進させたいと考えるようになる。ビヨンドトゥモローの活動では、災害の辛い経験だけでなく、故郷の歴史や美しさを伝えたいと考えている。

ジェッサ・ラピラップ
キャピトル大学4年生(英語専攻)

カガヤン・デ・オロ(ミンダナオ島)出身。数年前に巨大台風で被災した経験を持つ。国際交流基金マニラセンターが進める防災教育プログラムにも参加。翻訳の経験や、ミンダナオ島での平和構築に関する研修に参加した経験を持つ。ジャーナリズムと歌唱に強い興味を持っている。

スピーカー・ゲスト

パブリックフォーラム特別セッションでは、特別ゲストにご来場いただいた他、防災分野で活躍するスピーカーにパネルセッションにご参加いただきました。

特別ゲスト

安倍昭恵
首相夫人
豊田欣吾
外務省国際協力局審議官
林礼子
メリルリンチ日本証券株式会社 資本市場部長マネージングディレクター

パネルセッション

西川智
水資源機構理事
兼田奈津子
特定非営利活動法人さくらネット
安永智也
広島土砂災害コミュニティサポート

パブリックフォーラム参加者

パブリックフォーラム特別セッションには、学生、社会人、メディアの方々を含む約150名の来場があり、活発な議論に参加しました。

プログラム概要

本プログラムは、東日本大震災の被災地を訪問し、現地視察や住民へのヒアリングを行う「現地フィールドワーク」と、国連防災世界会議パブリックフォーラムにて発表を行う「パブリックフォーラム特別セッション」、そして最終日の「リフレクション」の3部から構成されました。

I. 現地フィールドワーク(3月12日(木)~14日(土))

プログラム冒頭、学生運営メンバーたちは、岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、南三陸町、多賀城市を訪問し、東日本大震災の際の津波の爪痕を訪れ、また、現地住民の方々へのヒアリングを行い、アジアの防災のために自分たちに何ができるのかを提言にまとめました。

陸前高田市
沿岸地域訪問、現地家庭訪問

学生運営メンバーの一人である菊地将大さんの案内で、菊地さんが生まれ育った陸前高田市を訪問。津波ですべてが流された沿岸地域を視察し、また、菊地さんの実家を訪問しました。

気仙沼市
現地事業者ヒアリング・防災センター訪問

気仙沼市では、漁業に関わる事業者の方からお話を伺い、また、地域の人々の安全を守る役割をもつ防災センターを訪問し、気仙沼地域における防災活動について学びました。

南三陸町
住居跡訪問、仮設住宅訪問、語り部ツアー参加

学生運営メンバーの一人である西城国琳さんの案内で、故郷南三陸町を訪問。西城さんがかつて住んでいた自宅(東日本大震災の津波で流失)跡を訪問し、また、現在、西城さんのご両親が住む仮設住宅を訪問し、住民の方々のお話を伺いました。

多賀城市
多賀城高校訪問

2016年に災害科学科が新設される多賀城高等学校を訪問し、学生たちと共にセッションを行いました。共に多賀城市の浸水区域を訪問し、多賀城高校の学生たちが主導する防災活動について学び、ディスカッションを行いました。

II. パブリックフォーラム特別セッション(3月15日(日))

「第3回国連防災世界会議」の一環として宮城県・仙台市で開催されたパブリックフォーラム特別セッション「東北、そしてアジアの若者の力 - 被災した若者たちの声」において、約150名の聴衆の前で、学生運営メンバーたちがフィールドワークに基づく提言を発表し、また、パネルディスカッションや、学生フォーラムで活発な議論が交わされました。

プログラムの流れ(敬称略)

ビヨンドトゥモローにおける防災に関する取り組みについて

学生スピーチ
菊地将大 ビヨンドトゥモロー/Project HOPE特別奨学生・筑波大学 社会・国際学群
(岩手県立高田高等学校卒業)
▼スピーチ全文を見る

ご挨拶
林礼子 メリルリンチ日本証券株式会社 資本市場部長マネージングディレクター

フィリピン人学生と日本人学生によるプレゼンテーション
プレゼンテーション資料を見る

パネルディスカッション

モデレーター
西川智 水資源機構 理事

パネリスト
兼田奈津子 特定非営利活動法人さくらネット
安永智也 広島土砂災害コミュニティサポート
ジェッサ・ラピラップ キャピトル大学4年
黒澤永 獨協大学外国語学部1年

学生フォーラム

ご講評
豊田欣吾 外務省国際協力局審議官

学生へのメッセージ
安倍昭恵首相夫人

映像リフレクション

III. リフレクション(3月16日(月))

プログラム最終日、学生運営メンバーたちは、本プログラムについて振り返り、それぞれの学びや気づきを共有しました。今後、アジアの若者たちが防災にむけて連携を深めていく重要性を全員で再確認し、再会を誓っての別れとなりました。

メディア掲載

  • The Daily MANILA SHIMBUN 「東日本の被災現場から防災学ぶ 台風被災のフィリピン人若者」
  • NHK総合「海外ネットワーク」
  • 日本経済新聞 「国連防災会議、閉幕へ 若者「BOSAI」で絆」
  • 読売新聞 「「すべての命 守りたい」 家族失った学生ら 誓う」
  • 毎日新聞 「災害死のない社会に」
  • 東京新聞 「国内外スピーチ「語る使命」
  • 中日新聞 「前へ歩く 家族失ったけど 支えられて」
  • 東京新聞 「天国の親と歩む」
  • 産経新聞 「僕たちだから変えられる」
  • THE JAPAN TIMES “3/11 survivors to attend U.N. disaster summit”

支援団体


バンクオブアメリカ・メリルリンチ

協力団体


国際交流基金
マニラ日本文化センター

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